外部からエネルギーを受け取ることなく仕事をし続ける装置を永久機関と呼びます。
このような装置ができれば石油などの資源を使わなくてよくなり、
エネルギー問題が一気に解決します。
ところが、現在、永久機関を作ることはできないということがわかっています。
不可能と言われると、なんとか作れないものかと思ってしまうのが人間です。
そして、もしやこれは永久機関ではと思わせる作品に出会いました。
サウンドインスタレーション「Meteon」
ギャラリーの壁に沿って、理科の実験器具のようなガラスの器具がずらっと並んでいます。
そして、あちこちから涼しげな音が、囁くように聞こえてきます。
ミヅマアートギャラリーで行われている赤松音呂さんの展覧会「Meteon」。
二つのガラス球がガラス管で繋がれていて、中に液体が入っています。
まっすぐ立っていたのにだんだん傾いてきて、
頭部が隣に置かれた水の入ったタワーに触れると元に戻ります。
小さな球がガラス管と繋がれていて、
ガラス管が傾きから解放されるときに音を鳴らす仕組みです。
特に電力などは使われておらず、自然に傾いたり元に戻ったりを繰り返していて、
永久機関ではと思わせます。
どういう原理で動いているのか知りたくて、かなり長い時間観察してしまいました。
実は「水飲み鳥」というおもちゃと同じ原理で、
頭部の球内の気圧と尾部の球内の気圧に差ができて、
液体が頭部に向かって移動するので傾くのです。
動き続けるには、外の水で頭部を冷やし続ける必要があるので、
永久機関にはならないのですね。
水飲み鳥は、ただ水を飲んでいるように見えるだけですが、
この作品は、音がなるところがクリエイティブでアートらしい。
水の力を借りて音を奏でる、まさに現代の鹿おどし。
小さな惑星
赤松さんは、小さなガラス器具の中で液体と気体とが循環し、
器具を動かす力を生み出す様子を小さな惑星に見立てました。
原始の地球は、岩石に含まれていた水蒸気が火山の爆発によって噴出、
雲ができ、冷えるにつれて雨が降り、海ができたと言われています。
実際に器具の中に入ることができたら、
太古の地球にいるかのような
ダイナミックな変化を体験できることでしょう。
開催情報
赤松音呂「Meteon」
会期:2019年5月29日〜6月29日
会場:ミヅマアートギャラリー
東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F
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