12月8日、9日の2日間だけ舘鼻則孝さんの展覧会が開催されました。
場所は旧細川侯爵邸・和敬塾本館、昭和11年に建てられた華族邸宅です。
舘鼻さんは、花魁の高下駄から着想したヒールレスシューズで有名ですが、
日本の伝統技術と新たなテクノロジーを使って斬新な作品を創っています。
今回の和洋折中の建物はでの展示は、部屋の数がとても多く、
それぞれが個性を持っています。
舘鼻さんは何度もロケハンをして展示の企画を考え、
それぞれの部屋にふさわしいインスタレーションが誕生しました。
そこには、舘鼻さんの宇宙観が見事に表現されています。
一番最初に出迎えてくれるのは、なんと骸骨、
金色に輝き、坐禅を組んで瞑想しています。
この骸骨、舘鼻さん自身の骨格をCTスキャンして制作した
「死への恐怖の具現化」。
震災以来、死ぬことを意識するようになったという舘鼻さんですが、
この像は、遠い宇宙をも見渡す慧眼を感じます。
そして、今回のメインとなる作品が「THEORY OF THE ELEMENTS」。
金と銀でできた煙管とそれを収める八角柱の箱が5組。
それぞれ「空・風・火・水・地」を表現していて、五大思想に基づいています。
箱は黒地に金が施され荘厳な趣。
縦に重ねることができ、重ねた状態でX線写真を撮ると
中がくり抜かれていて、五輪塔が浮かびあがるのです。
古えに作られた仏像に、やはり中がくり抜かれ五輪塔が入っていたそうです。
目には見えないところに魂を込める、そんな作品を現代に甦らせました。
もちろん、ヒールレスシューズも美しさと存在感を放っています。
日本の文化を徹底的に研究して、
現代アートとして昇華し世界に発信している舘鼻さんの波動と、
日本と西洋の文化を取り入れた和敬塾の波動が
共鳴し合うことで創り出された幽玄の美。