アート思考 – ワークショップからアーティストとのコラボレーションへ

アート思考 Cody Choi

 

最近「アート思考」という言葉をよく聞くようになりました。

アーティストが0→1の作品を創るときの発想法をビジネスにも取り入れようという考えです。

 

アート思考とは

アーティストのように「Passion (情熱)」をもって、

現状を「Subversion(破壊)」することを恐れず、

「Improbable(ありえない)」形で世界を変えようとすること。

 

「課題解決」として浸透してきているデザインシンキングの前段階にあたる

「課題設定」に必要となる考え方です。

 

アート思考ワークショップ

10年前、フランスのビジネススクールESCPの

シルヴァン・ビューロゥ准教授が「アート思考ワークショップ」の取り組みを始めました。

 

ビジネススクールは、基本的に既存企業のケーススタディについて議論を行います。

在学中にものすごい数のケースを調べるので、

実際のビジネスの現場で起きる問題のほとんどを学ぶことができると言われていました。

 

これはAIの議論と通じるところがあります。

過去の事例にあてはまるかどうかを調べることはできるけれど、

全く新しい事象に出会ったときは、対応できないことがあります。

 

戦後の日本のように、必要なものがいっぱいあってひたすら作り続ければよかった時代は

ビジネススクール的トレーニングでよかったかもしれません。

 

しかし、現在は社会の変化のスピードがとんでもなく速く、

過去の事例にあてはまらない事態にぶちあたることが多くなっています。

 

そのような時代にこそ、課題を提起する「アート思考」が重要と言われています。

ワークショップは、「貢献」・「逸脱」・「破壊」・「漂流」・「対話」・「出展」

というフレームワークで行われます。

 

議論を呼ぶコンセプチュアルアート

マルセル・デュシャンが1917年に発表した「泉」。

セラミック製の男性用小便器に“R.Mutt”という署名と年号が書かれた作品、

アートの定義に関する論争を巻き起こすことになります。

 

アート思考 マルセルデュシャン

 

このような議論を引き起こすような問いかけこそが、

現状を変え、イノベーションの創出につながります。

 

「デザイン思考」で有名なスタンフォード大学でも

問いを作れる起業家を生み出す方法を模索するなかで

ビューロゥのワークショップを導入しています。

 

アーティストの思考

私は多くのアーティストを話をしていますが、彼らの発想は本当にユニークです。

0→1を創ることに命をかけているわけですから。

また、彼らは何かについてリサーチをするとなると、現地に赴くの当然で、

徹底的に調べ、誰よりも詳しくなってしまいます。

 

いろいろなテーマでリサーチをすることで、発想の引き出しがどんどん増え、

新しいリサーチに、以前のものを融合して作品にすることも可能です。

 

したがって、ちょっとやそっとのワークショップで

彼らの発想が身に着くとはとても思えません。

 

むしろ、アーティストの力を借りて、

課題を見つけ出してもらうのがいいのではないかと考えます。

アーティストには、リサーチをしたうえで自分の作品を創ってもらいます。

 

その作品制作の過程で提起された課題を、産業側が読み解き、解決策を考えるという

エコシステムでできれば、もっとイノベーションが生まれるようになるのではないでしょうか。

 

是非、皆さんのアイデアをお待ちしております。

 

関連リンク

IMPR BABLE An Art Thinking Workshop