ニューヨークのデザイナー、ポーラ・シェアの展覧会が開催されています。
1階はMapシリーズ、
タイポグラフィのデザイナーだけに、都市の名前で埋め尽くされた地図の数々。
海も文字で描かれています。
ずっと眺めていたくなる魅力があります。
地下は、彼女がこれまで手がけた様々なポスターの展示。
私としては、ポスターよりもMapの方がいいなと思いましたが、
制作意図が全く違っていました。
ポスターは、演劇などの広告・広報を目的として創られています。
90年代、彼女のポスターは非常に人気になり、
多くのデザイナーが彼女の作風を真似るようになりました。
ニューヨークといえばポーラ・シェアという状況になったのです。
一方のMapシリーズ、
クライアントがいるわけではなく、彼女が創りたくて創っている、
デザインとアートの違いということもでき、
Mapシリーズの自由な表現に惹きつけられます。
Serious Play: 本気の遊び
ポーラは、TEDで自分の制作について語っています。
「本気とまじめ」
まじめなデザインは美しく、多くの観衆の支持を得られます。
一方の本気なデザインは、クレージーな人間性が創り出す未完成なもの
大抵の場合、うまく説明ができないものになるといいます。
ポーラは、これまで本気で取り組んだのは4回といいます。
・タイポグラフィを始めた頃、ザ・フォントだったヘルベチカが嫌いで
他のフォントでのデザインにチャレンジした時。
・1994年、パブリックシアターのブランディングを依頼された時。
・2000年、劇場の内装を依頼され、環境グラフィックスにチャレンジした時。
・そしてMapシリーズを始めた時。
いずれも新しいことにチャレンジしたことで、
自分を発見し成長することができたといいます。
しかし、慣れてくるとまじめな仕事になってしまい、
また新しいことを探し求める。
「Be a neophyte(初心者であれ)」
ポーラが好きな言葉の一つです。
Mapシリーズもだんだんまじめの領域になってきたそう。
ポーラの次の本気はどんなものになるのか、今から楽しみですね。
開催概要
ポーラ・シェア:Serious Play
会期:2019年2月4日 ~ 3月25日
会場:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F/B1F