空の彼方の理想郷へ – 『宇宙と芸術展』

Tom Sachs

森美術館で『宇宙と芸術展』が開催されています。

宇宙は古来、手の届かない未知の世界でした。

科学者は、その謎を解明するため観測を続け、
技術者は、宇宙への旅に挑戦し、
アーティストはその神秘を描きました。

一つのテーマながら、
その表現がとてつもなく多様であるのが宇宙、
三者三様の宇宙への対峙が展示されています。

天動説:レギオモンタヌス『プトレマイオスの「アルマゲスト」要約』(1496)
地動説:コペルニクスの『天体の回転について』(1543)
惑星の動きの解明:ケプラー『新天文学』(1609)
天文学の基礎を築いた貴重な資料が初版本で勢揃い。
描かれている図に、科学者の洞察を感じます。

NASAの『アポロ11号任務記録(月着陸交信記録)』(1969)

Apolo 11

Armstrong
『スペース・シャトル・チャレンジャー号の事故に
関する合衆国大統領調査委員会報告』(1986)
フォスター卿がデザインした月面住居(2012)

Foster partners

人間が深遠なる宇宙に挑んだ軌跡。

国友藤兵衛重恭、トレヴァー・パグレン、ヴォルフガング・ティルマンス...
天体の姿を克明に描いたアーティストの作品には神秘を感じます。

Travor Paglen

Walfgang Tillmans

そして、私の最大のお気に入り、
野村仁『moon score: ISS Commander – Listening to it on Mars, now』
若田光一さんが宇宙ステーション滞在中に撮影した月、
地上と違って、地球の青い大気と月が同じ画像に映り込みます。
クレーター、月の海、大気を音符に見立てて作曲したシンフォニー、
宇宙ステーションだからこそ見出せた、月と地球の関係性。

クリエイターにとって、宇宙は想像の源
フランク・R・パウルの描く惑星人の姿は微笑ましい。

Frank Paul

Frank Paul
竹取物語絵巻もちゃんと展示されています。

さらに、自ら宇宙を創ってしまうアーティストも。
ビョーン・ダーレムの『ブラックホール(M-領域)』(2016)
ありきたりの素材で創られたインスタレーションながら、
不思議な空間を感じます。

Bjorn Dahlem

チームラボ『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、
そして衝突して咲いていく – Light in Space』
ワープを経験できるダイナミックなインスタレーション。
ワープを誘導するカラスたちは、三本足の八咫烏、太陽の化身。

Team Lab

Team Lab

Team Lab

これらの作品に共通していること、
アーティストは宇宙の彼方に自らの理想郷を思い描き、
地球上に実現している、
彼らは宇宙からの使者なのかもしれません。

宇宙と芸術展
2016年7月30日〜2017年1月9日
森美術館


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