金沢21世紀美術館に常設されている「スイミング・プール」、
プールの上から覗くと、水の底に人が立っていて
こちらを見上げています。
こんな一見不思議な世界を創っているアーティスト、レアンドロ・エルリッヒ。
代官山アートフロントギャラリーで、
レアンドロ・エルリッヒの小さな作品が展示されています。
壁に三段だけの階段、上ったところで
どこに行けるわけでもないけれど、
上って非常口のライトを覗くと
そこには、もう一つの階段!
四次元の向こうに下りて行けそう。
ところで、サインを照らしている蛍光灯はどこに?
暗い部屋に漂う白い雲、
空に浮かんでいるはずの雲が
部屋に閉じ込められている不思議。
雲をプリントしたガラスを何枚も重ねると
立体に見えてくる仕組み。
雲のように輪郭のはっきりしない物体だからこそ
この手法が生きている。
作品には蟹とか雌鳥とか生物の名前がついている。
じっと観ていると動き出しそうな
柔らかな感覚。
静かに回るカルーセル、
覗くと、ある時は春の庭、
またある時は秋の庭が広がっている。
4つに分けられた区画に春夏秋冬が描かれているのだけれど、
鏡を通して観ることで、奥行きのある庭が出現する。
わりと簡単でシンプルな仕組みながら
驚きや楽しさがあふれている。
人の心を動かすという、
アート本来の姿を映している。