銀座CHANEL NEXUS HALLで「ピエール セルネ & 春画」展が行われています。
現代のモノクロ写真と春画が並んで展示されている様子が新鮮です。
ピエール セルネはフランス生まれの写真家、
ファインアートのデータベース「artnet.com」の設立者という経歴ももちます。
世界の人々の相違点と類似点の探究をテーマとして作品を創っています。
今回展示されている「Synonyms」は、文化的にも民族的にも異なる背景をもつ
個人またはカップルの肉体を、スクリーンを通して撮影しています。
肉体とわかる作品もあれば、非常に抽象的な表現になっている作品もあります。
作品タイトルに被写体の名前がつけられていて、ここだけ個人的な違いが示されています。
このような作品にすると、人間の肉体の類似点が際立ちます。
似ているのであれば、文化的な違いなどは超えてもっと理解し合うべきではと、問いかけています。
セルネは、ニューヨークのメトロポリタン美術館で日本の肖像画を観たことで、
この作品のコンセプトを思いついたそうです。
今回、日本の春画と並んで展示されるのも、運命的なものを感じます。
春画は、江戸時代、浮世絵の一つのジャンルとして、
武士から町人まで多くの人たちに親しまれました。
しかし、明治になり西洋文化が入ってくると、
「性は恥ずかしいもの」とされ、発売できなくなったのです。
2013年にイギリスの大英博物館で春画展が開かれると、
海外の人たちから、非常に豊かな情感が描かれていると評価されました。
日本への巡回も検討されたものの実現しませんでした。
ようやく、2015年に東京の永青文庫で春画展が開催され、大好評を博しました。
今回の展示は、東洋古陶磁を扱う浦上蒼穹堂の浦上満コレクション、
鈴木春信、喜多川歌麿、鳥居清長、鳥文斎栄之、そして葛飾北斎という
豪華ラインナップ。
これも、春画を依頼されるようになって一流の絵師と言われたぐらいで、
作家にとっては重要なジャンルだったのですね。
男女の和合は、子孫繁栄につながり縁起物とされていました。
めでたいことを強調するため、局部がデフォルメされているなど、
春画からは当時の文化を知ることができます。
貴重な機会です。
ピエール セルネ & 春画
会期:2019年3月13日〜27日(前期)、3月29日〜4月7日(後期)
会場:シャネル・ネクサス・ホール
住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F