『アーティストとの協働で組織に変革を起こす』のタイトルの記事を、三谷産業株式会社が発行しているイノベーションマガジン『Carbon』第8号に弊社代表の長谷川一英が寄稿しました。
アーティスティック・インターベンションとは?
「イノベーションを生むアート思考」シリーズの3回目で、『アーティストとの協働で組織に変革を起こす』というタイトルの記事です。企業のプロジェクトにアーティストを迎えて、組織全体の思考の飛躍を促し、新規事業開発や組織変革を行うことを、「アーティスティック・インターベンション」と呼んでいます。欧米では盛んに行われていますが、日本ではほとんど行われていません。
アーティストとの協働 – アフターコロナのビジョンを考える
ここで紹介しているのは、文化庁の令和2年度文化経済戦略推進事業として、弊社が提案した事例です。コニカミノルタ株式会社では、この時期、アフターコロナに向けて、これまでの延長ではなく、全く新しいビジョンを創る必要があると考えていました。そこで、アーティストに参加してもらうことで、社員だけで議論していては出てこないようなコンセプトが出てくると期待しました。
アーティストはジョーカー – アート思考によるプロジェクトへの貢献
アーティストの久門剛史氏に参加していただきました。プロジェクトのスタートにあたって久門氏は、「ジョーカー的な役割として迎えられている」と言いました。企業の仕事のやり方やものの考え方に同調していては、アーティストが加わる意味がないことをわかってくれていました。
久門氏は、プロジェクトメンバーが忙しくしている様子を見て、「忙しいとなかなかいいアイデアは出てこない。スピードダウンが必要」と主張し、「往復書簡」というアナログな方法を提案しました。久門氏から、アート作品を創る材料と、制作のテーマが送られてきました。メンバーは、テーマについて考え作品を創ります。それなりに時間がかかりますが、その間、アフターコロナのビジョンについて、考えをめぐらすことができます。
往復書簡の結果などをふまえ、久門氏が描いた12枚のドローイングを基に、ビジョンを考えるワークショップを実施しました。アートを起点に議論したことで、高い視座からのビジョンが出てきたのが印象的でした。
アーティストの参加により、企業の従業員だけでは到達できない創造的な思考が開花しました。これがアーティスティック・インターベンションの効果であり、真の変革を求めるなら、積極的に採用すべきなのです。
関連リンク
アート思考入門(13)アーティストが企画に介入(戦略フォーサイト)
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三谷産業株式会社のイノベーションマガジン『 Carbon』第7号に寄稿