アートによるイノベーション創出 現代美術作家 杉本博司氏によるレクチャーを開催

2022年7月9日、小田原文化財団 江之浦測候所にて、THE MEANING OF WORKと共催でビジネスエグゼクティブ向けプログラム『杉本博司と歴史観を語る』を開催しました。当日は、業種も年齢も様々なエグゼクティブ20名に集まっていただきました。

本イベントは、エグゼクティブの皆様に、アーティストの視点・思考が飛躍しており、アーティストとのコラボレーションがイノベーション創出の起爆剤となることに気づいていただくことも目的に開催しました。

内容は二部構成になっており、一部では、小田原文化財団ディレクターの稲益智恵子さん案内による江之浦測候所の施設見学を行いました。かつて蜜柑畑だった広大な敷地に、ギャラリー棟、石舞台、光学硝子舞台、茶室などが点在しています。杉本さんは、測候所全体を自身の集大成のアートと語っています。それぞれの施設は、建てられた時代の建築様式を再現して造られています。また、古墳時代から近世までの石材を収集し、施設内に配置しています。一つ一つの建築、何がなく置かれている石にそれぞれの歴史があるのです。その由来の話を聴いていると、その時代に思いを馳せることができました。

 

測候所という名前は、夏至の日の朝、ギャラリー棟の先端から太陽の光が射すように設計され、冬至光遥拝隧道は、冬至の朝陽光が70mの隧道を貫くというように、太陽の光を観測する施設になっているところからつけられています。一方で、2022年春に、奈良・春日大社より心霊の勧請を受けた甘橘山 春日社もお身見えし、神との交信をする場でもあります。人類の文明を一覧できる壮大な施設は、都会で目にする建築物とは異なる畏怖という言葉がふさわしい神秘さを湛えていました。

第二部では、待合棟において杉本博司さんによるレクチャーを行いました。こちらも地球の歴史を振り返るという壮大なテーマで、人類の「時間意識の獲得」ということを中心に話をしていただきました。講演後、参加者からの質問があいつぎ、なぜ小田原にこの施設を造ったのか、古いものを集めることと新しいものを創ることにはどのような違いがあるのか、アートによるイノベーションとはどういうことかといった質問がありました。

アートとイノベーションについての質問で、杉本さんは、オリジナルな発想は20代のときに全て思いついていて、長い期間をかけて実現させてきた、若い時に多くのことを経験することが重要だと回答されていたのが、非常に印象的でした。

最後に、202年に施設内にできたStone Age Caféで交流会を行いました。ここでは、「伊良(いよし)コーラ」とコラボレーションして「甘橘山」で収穫した日向夏を使用したクラフトコーラ魔法のシロップを使ったドリンクを提供していただきました。

参加された皆様からは、次のような感想をいただきました。

杉本先⽣の貴重なお話を聞かせて頂くと共に、極めて⾮⽇常的な不思議な空間である江之浦を隅から隅まで堪能させて頂くことが出来ました。

杉本さんの江之浦測候所を作っていく経緯をみても、縁が強烈な役割を果たしている、そしてその縁を引き寄せている気がする。⽯が集まってくる、キーマンとなる⼈との奇遇の出会いなど、引き寄せる⼒がすごい。

私個⼈としても⼈⽣観が広がるようなお話を聞かせていただき、今後の⼈⽣において⼤きな転機になりそうだと感じてワクワクしています。⾃分の⼼の中の「なぜだろう」を⼤切に、対話しながら、世の中に残していく、そんな⼈⽣を送りたいと思います。

アートとは、社会の当たり前に流されず、勇気をもって信念を貫き通すことから⽣まれるものだと感じました。

素晴らしいレクチャーをしていただいた杉本博司さん、施設を案内していただいた稲益智恵⼦さん、準備をしていただいた⼩⽥原⽂化財団の皆さん、そしてご参加いただいたエグゼクティブの皆さんに感謝いたします。ありがとうございました。