異文化によるアートイノベーション – コア・ポア「Returnee」

異文化によるアートイノベーション - コア・ポア「Returnee」

 

GINZA SIX内にあるギャラリーTHE CLUBで、コア・ポア(Kour Pour)の個展が開催されています。

コア・ポアは、現在ロサンゼルスを拠点に活動していて、

ペインティングと版画を中心に制作しています。

 

ペルシア絨毯

2017年、東京都庭園美術館で行われたグループ展「装飾は流転する」で、

ペルシア絨毯の模様のようなペインティングを展示していました。

イラン系イギリス人のお父さんがペルシア絨毯の修復の仕事をしていたこと、

イランと中東の文化を象徴するものであることから、

絨毯の作品は彼にとって重要な意味をもっています。

 

異文化によるアートイノベーション - コア・ポア「Returnee」

異文化によるアートイノベーション - コア・ポア「Returnee」

 

最初は16世紀の絨毯を参照していますが、その後、

異なる地域や時代のイメージをインターネットから取り入れ、独自のスタイルを創ってきました。

それだけいろいろな模様が入り、千夜一夜物語のようなストーリーが描かれているようでした。

 

浮世絵

この取り組みで、異なる文化圏のアートについて学ぶことができたといいます。

そして、日本の浮世絵からもイメージも取り入れるようになりました。

 

今回のTHE CLUBでの展示は、まさに日本の浮世絵からイメージされた作品です。

 

東京の地層からインスピレーションを受け浮世絵風の版画にした作品、

広重や国芳の浮世絵の一部のモチーフを版画にした作品、

浮世絵の一部だけ取り出すということは日本人はなかなかやらないと思いますが、

かなりの数の色が使われていてモチーフとして面白いことがわかります。

これなど、インターネットでデータをとっているから思いつく発想のように思います。

 

異文化によるアートイノベーション - コア・ポア「Returnee」

異文化によるアートイノベーション - コア・ポア「Returnee」

異文化によるアートイノベーション - コア・ポア「Returnee」

 

そして、絨毯の作品と同様に、多くの模様を取り入れた作品。

 

いずれも浮世絵よりも重厚感のある色合いで、抽象的になっていて

独自性の高い作品になっています。

 

異文化とつながる

コア・ポアが、このように異文化を取り入れて作品を創っているのは、

彼が様々な国で暮らしてきた経験からきていると言います。

異なる文化や伝統に身をおくことで、新しい世界へと向かうことができるのです。

 

また、いろいろなビジュアル言語を使って多くの人たちとつながりたいと考えています。

 

また、特に日本の浮世絵は、印象派以来、西洋の美術にもずっと影響を与えてきました。

日本の版画の様式がコンテンポラリーアートの中で

どのように受け継がれているのかを多くの人に見出してほしいと考えています。

 

異文化を積極的に取り入れ、そこから独自の世界を構築することを

軽やかにやってしまうコア・ポアが頼もしくみえる展示です。

 

東京都庭園美術館での展覧会でのアーティストトークの映像が公開されていますが、

こちらもおすすめです。

 

 

開催概要

コア・ポア「Returnee」

会期:2019年4月6日 – 6月12日

会場:THE CLUB

東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 6F

 

 

関連リンク

THE CLUB

東京都庭園美術館

Kour Pour

庭園美術館でのアーティストトーク