原美術館で3日間だけ開催された「INSPIRATIONS TOKYO~17世紀絵画が誘う現代の表現」展。
ドリス ヴァン ノッテンの青山の旗艦店に飾られている
17世紀の画家エラルート・デ・ライレッセ(Gerard de Lairesse)作の2枚の絵画と、
日本の6人のアーティストがこの絵画からインスピレーションを受けて制作した作品が展示されています。
ベルギーを代表する17世紀のギリシア神話の絵画
エラルート・デ・ライレッセの作品は、
『アキレスとアガメムノンの口論』と『パリスとアポロがアキレスの踵に矢を向け命を狙う』
ギリシア神話のトロイ戦争を描いたもの、
不死身のアキレスの唯一の弱点である踵を射抜かれたところを描いています。
ドリス ヴァン ノッテンの出身であるベルギーを代表する絵画、
2009年、東京に店をオープンする時に、ベルギーの要素を持ち込みたいと考え、この作品を展示しました。
2009年のプロジェクト:堂本右美、蜷川実花、大庭大介
一方で、17世紀の絵画だけでは時代が違いすぎます。
そこで、日本の現代アートも取り入れることにしました。
オープン時に選ばれたアーティストが、堂本右美、蜷川実花、大庭大介の3人。
今回の展示でも、この3人の作品が展示されています。
この時は、ドリスから、モノクロで制作してほしいと依頼され、
いつもカラフルな写真作品を制作している蜷川実花さんもモノクロで制作しました。
蜷川実花さんは、これ以降モノクロの作品も創るようになります。
2019年のプロジェクト:安野谷昌穂、石井七歩、佐藤允
青山店オープンから10年、
現代を代表する若いアーティストに再び作品を制作してもらい、
2009年の作品との対比を行いたいと考えました。
そして選ばれたのが、安野谷昌穂、石井七歩、佐藤允。
安野谷昌穂さんは、生と死を感じさせる作品
佐藤允さんは、ライレッセの作品の続きの物語
石井七歩さんは、ライレッセの作品に感じるエネルギーが
どんどん流れ込んでくるような作品をそれぞれ制作しました。
2009年の時はモノクロだったこともあり、非常に抽象度の高い作品でした。
今回は、色も使うことができ、物語や演劇を思わせる作品になったように思います。
同じ作品を元にしていながらこれだけ方向が変わってくる、
ドリスが狙った通りだったのではないでしょうか。
新たな10年、物語に富むお店を展開していくことでしょう。
開催概要
INTERPRETATIONS, TOKYO‐17世紀絵画が誘う現代の表現
会期:2019年3月29日〜3月31日
会場:原美術館
東京都品川区北品川 4-7-25