水戸芸術館で石川直樹さんの個展が開かれています。
地球上のありとあらゆるところを旅し写真を撮る。
その行動範囲には想像を絶するものがあります。
北極から南極まで人力で移動する国際プロジェクト「POLE to POLE」に参加、
エベレストを始め、七大陸の最高峰に登頂、
ポリネシア・トライアングルの島々を巡っています。
そして、今回の展示で最も印象的だった、先史時代の壁画。
全く関係のない場所ながら、
動物、人と、似通った壁画が描かれていて、
情報とは何かを考えさせられる作品です。
四次元を縦横無尽に軽やかに駆け巡る冒険者。
山に登るといった目標を目指すだけではなく、
その土地の人々と交流、文化人類学的リサーチも行い、
アカデミックな目で事象を捉えています。
誰よりも俯瞰する目と足を持っている石川さん、
他の人が気がつかない知見をいくつも見出してきたことでしょう。
そんな彼の軌跡についての、初の大規模回顧展、
雪、土、緑、そして空にあふれています。
人は古来より、大地と空と対話することで
時間、季節、天候を知ることができました。
彼の写真からは、そんな神聖なるもの、畏怖すべきものが感じられ、
清冽な緊張感に魅了されます。
今回の展示では、石川直樹の部屋が作られ、
彼が愛用しているグッズや愛読書が展示されています。
新品のように磨かれ、今すぐにでも新たな冒険に旅立とうとしているかのようです。
神聖なるものに再び出会うために。
石川直樹 この星の光の地図を写す
水戸芸術館現代美術ギャラリー
2016年12月17日~ 2017年2月26日