TARO NASUでRyan Ganderの個展が開かれています。
ところがいつもとは異なる雰囲気。
小さなフィギュアが、ギャラリーの壁に沿って並んでいます。
その数なんと500体。
フィギュアはPlaymobil、1974年にドイツで生まれたプラスチック製のフィギュア、
日本ではあまりポピュラーではありませんが、欧米ではLEGOと並んで人気です。
首、手、足、腰の間接が動き、手は道具をつかむことができます。
首は人間同様180度しかまわらないという凝りよう。
子供たちの描く絵を観察しデザインされたという表情がとてもかわいい。
サーカス団、騎士、海賊、冒険家、インデアン、カウボーイといった
3000を超えるキャラクターが誕生、
さらに、大人から子供までの服装、肌や髪の色、小物にいたるまで
実際の世界のダイバーシティを再現しています。
フランスのアーティストPierre-Adrien Sollierは、
歴史的名画やアーティストをPlaymobilで置き換えた作品を発表するなど、
アーティストの創造性と共鳴する玩具なのです。
Ryan Ganderは、昨年11月から今年の1月まで
イタリアトリノのQuartz Studioで行った展示でも
Playmobilを使った作品を展示しました。
この展覧会は、5歳になる娘のOlive May Ganderとともに創り上げました。
いくつかのPlaymobilをぐちゃぐちゃに組み合わせて作品にしたのですが、、
今回もその流れを汲んでいます。
500体のPlaymobilの頭、手足、胴体を一旦ばらばらにして、
本来とは全く違う組み合わせで再構成、
手にする道具も本来とは異なるものになっています。
なので、ひとつひとつをよく見ると、奇妙な姿をしています。
ところが500体終結すると、一つの世界が創られていることに気づきます。
しかも、普通ではない姿をしているからこそ、
生命力にあふれている感じを受けます。
ギャラリーが閉まった後、ナイトミュージアムのように
フィギュアたちが動きだしバトルを繰り広げるに違いありません。
メーカーが提供するままの均一性から脱することで、
初めて無限の可能性の海に到達することができます。
もしかしたら、産業界で実際に使えそうな新たなフィギュアもあるかもしれません。
新規事業を考えている人たちには必見の展示ですね。
そして、この500体のフィギュアが活躍する映画も是非創ってほしいものです。