江戸のイノベーター『ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳、わたしの国貞』

国芳、国貞

Bunkamura ザ・ミュージアムで
『ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳、わたしの国貞』が行われています。
間もなく終了してしまいますが、絶対見ておくべき展覧会の一つです。

ボストン美術館では、浮世絵を一度展示したら、
次の5年間は収蔵庫で寝かせることになっています。
「昨日摺り上がったような」鮮やかさを保つためです。
ですから、今回逃すと5年以上お目にかかることができません。

とても150年以上前の版画とは思えない鮮やかな色に驚かされますが、
新たな絵を創ることにチャレンジしていることも見所です。

歌川国芳(1797-1861)と歌川国貞(1786-1864)
ともに歌川豊国の門下ですが、国貞は若くして認められ、
美人画や役者絵は当時も大人気でした。
ウィリアム・ビゲローがコレクションしボストン美術館に寄贈した
浮世絵の中でも、国貞のものが圧倒的に多いといいます。

国貞
一方の国芳は若い時は不遇の時を過ごします。
そこで西洋画の手法を取り入れるなど新たな浮世絵に取り組みます。

その特徴の一つが、3枚1セットの作品。

浮世絵には3枚1セットの作品がありますが、
これまでは1枚ずつでも成り立つものでした。

ところが国芳は、3枚並べた時にはじめて絵が現れる
ワイドスクリーンの構図で描き、
ダイナミックな作品を創り上げたのです。
(辻 惟雄『奇想の系譜』)

「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」の鰐鮫など、
大きな絵になると、それだけリアルに描く必要がありますが、
そこで、西洋の図鑑などを引用したと言われています。

江戸っ子たちは、国芳のダイナミックに触れ、
度肝を抜かれたことでしょう。
西洋の文化に触れるとすぐに取り入れるところに、
イノベーターの気質を見ることができます。

新たな浮世絵に挑み続けた絵師たちが活躍した江戸、
所狭しと展示された浮世絵に彼らの息遣いが感じられ、
楽しい雰囲気に包まれた展覧会。

今回、国貞の美人画の一部が撮影可能になっていました。

国貞

国貞

国貞
『ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳、わたしの国貞』
2016年3月19日〜6月5日
Bunkamura ザ・ミュージアム


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