片山真妃「キュリー夫人年表」
その制作方法は、とてもロジカルです。
今回の主役はマリー・キュリー、2度ノーベル賞を受賞した研究者。
その人生は、波乱に富んだものでした。
片山さんは、キュリー夫人の伝記を丹念に読み、
親戚、支援者、さらには、アインシュタインのような
交流のあった研究者をピックアップ。
彼らの誕生日と命日、その日の天候を調べあげます。
そして、数字、曜日、天候と色とを対応させるチャートを作成し、
それぞれの人の誕生日、命日に基づいた作品を制作しました。
主人公マリー・キュリーについては、
その66年の生涯を追体験するように、
66のレイヤーを重ねて、複雑な作品を描いています。
自分の意思を介在させずチャートに従って描いているけれども、
それぞれ異なる配色を見ていると、
数学的に創られた作品にこそ
その人の人生が宿っているかのように思えます。
また、夫婦であった二人のキャンバスを、
夫婦であった年数だけ衝突させて色を交換させる
「衝突」シリーズも、共に生きた時間が感じられ、とても美しい。