松井えり菜さんの個展が、白金の山本現代で行われています。
松井さんは1984年生まれ、「変顔」と呼ばれる自画像の作品で知られています。
自画像こそがリアリティを感じられる世界、
日常で発見したことなどを描くことで、
自分自身気が付いていなかった感情や理想を発見できるといいます。
今回は、自分を地球に見立てた「変顔」のシリーズと、
「西洋古典絵画」のシリーズを発表しています。
「変顔」シリーズは、自分を地球に見立てた自画像、
結婚して名前が変わるなどで面倒なことが続出したことに対し、
地球が歯ぎしりしている作品、
ドイツに留学していたとき、新年を迎える花火がとんでもなく激しく
命の危険さえ感じたことを表現した作品など、
日常で起きていることを、宇宙レベルで描いていてなんとも大袈裟。
しかも細密画で描かれているので、
本当に嫌だったんだなという感情がありありと伝わってきます。
「西洋古典絵画」シリーズは、
自分を描かずに自画像を創ることができるかにチャレンジした作品です。
西洋古典絵画を観たときに、
頭の中に思い描いた少女漫画風のストーリーを
筆を使わずに指で表現したものです。
例えば、『最後の晩餐』で、裏切り者の存在に気付いたキリストは、
容疑者を次々に射殺してしまったり、
『草上の昼食』で紳士が指さしている先に何があるのかを描いてみたり...
頭の中を描くことで、自分を描かない自画像と考えています。
これが、展覧会のタイトル『マンガ脳夜曲』になっているのです。
指で描いていながらも、先達の作品の特徴を捉えていて
見ごたえのある作品になっています。
今回、松井えり菜さん自身に作品の説明をしていただきましたが、
この説明が、とても感情豊かでとても面白い。
是非、彼女の在廊中に観に行くことをお薦めします。
松井えり菜個展 『マンガ脳夜曲(マンガノウセレナーデ)~絵画の続き~』
2015年11月14日~12月12日
山本現代