PARCO劇場で行われていた『ダブリンの鐘つきカビ人間』。
後藤ひろひと作、G2演出の舞台、
2002年初演、2005年に再演されて10年ぶりの登場です。
二人の若者が、霧深い森の中たどり着いた屋敷で初老の紳士に出会います。
二人が、森の中で不思議な歌を耳にし、鐘の音を聞いたことを話すと、
紳士は、かつてここに街があったと語り出します。
場面は中世の平和にあふれたように見える街、
しかし、この街には奇妙な病気が蔓延していました。
指になぜか鳥が止まる病気、
背中に羽がはえる病気...
そして、自分の思っていることと逆の言葉が出てしまう少女
鐘つきの青年は美男子で、女性の人気の的でしたが、
なぜか全身にカビが生え、今は街じゅうの嫌われ者。
ところが少女の口から出たのは「素敵な人!」。
ここから二人の物語が始まります。
一方、紳士の話を聞いているはずの二人の若者、
どういうわけか物語に紛れ込み、
街の病気を治してくれるという魔法の剣を探す冒険に出発します。
次から次に繰り出されるコミカルなエピソードに
笑い転げている間に、話はどんどん進んで行きます。
黒ひげ危機一髪やらエルビス・プレスリーやら、
脈絡もなく突然現れるキャラクター、
でもちゃんとストーリーの伏線になっているのです。
そして、カビ人間の物語と冒険とが出会う時、
感動と驚愕のシーンが待っています。
10年の時を経ても全く色褪せず、
人々の心を惹きつけるストーリー展開、
人間の深層心理に訴えかける
後藤ひろひととG2の舞台はなおも健在でした。
今回の公演は終わってしまいましたが、
4たびダブリンの鐘が鳴る時を期待しましょう。
作:後藤ひろひと
演出:G2
出演:佐藤隆太 上西星来(東京パフォーマンスドール)
白洲迅 大塚千弘
小西遼生 中村昌也 木戸邑弥 明樂哲典
マギー 後藤ひろひと 吉野圭吾
篠井英介
村井國夫
PARCO劇場