SCAI THE BATHHOUSEで行なわれている
Bosco Sodiの個展『Rhus Verniciflua』。
壁にかけられたピンクのエネルギッシュな作品と
床に置かれた金色の岩石、
大胆な組み合わせなのに、
どこか枯山水のような端正さが漂っています。
Sodiはメキシコ生まれで、
化学工学を学んだ後にアートを制作するようになったことから、
様々な顔料を試し、その化学反応を楽しんでいます。
世界各地で制作をしていますが、
その土地に特徴的な顔料や素材を選びます。
今回の日本の展示では主役の素材がタイトルに。
「Rhus Verniciflua」、これは漆の学名です。
日本ならではの素材、そして日本の気候の中で、
特徴的な作品を創りあげました。
パネルに漆を塗って鏡面にまで仕上げた後、
もったいないことにその鏡面をやすりで削り、
ピンクの染料を流しています。
ところどころに見られるかさぶたのような塊は、
漆のおが屑を固めたもの。
乾燥するにつれてひびが入りますが、
どんなふうにひび割れするかは、自分でもコントロールできません。
ダイナミックな色と質感を観ていると、
宇宙空間で小惑星を目にしているような浮遊感を覚えます。
そして、金色に輝く岩石、
火山岩を山から運び出し、一旦赤で彩色したうえに
金色の釉薬をかけて焼いたもの。
隠れた赤によって、輝きが一段と鮮やかになっているようです。
壁のピンクと床の金、
伝統の素材が描く
未だ見たことのない小宇宙、
この宇宙に是非触れてほしいと思います。