伊香保温泉にほど近い牧草地にHARA MUSEUM ARCはあります。
品川の原美術館の別館として建てられ、
原美術館の膨大なコレクションを収蔵しています。
鮮やかな緑の中、木造平屋で黒く塗られ、
自然の中の美術館らしい静かな佇まいです。
美術館の入り口で私たちを迎えてくれるのが、
ジャン=ミシェルオトニエルの『Kokoro』。
ハート型に繋がれた赤いガラスの球体、
建物の黒とのコントラストが鮮やかで、
絶好の撮影スポットです。
そして、緑の中にポツンと立つドーム、
オラファー・エリアソンの『SUNSPACE FOR SHIBUKAWA』。
ドームといえば天体観測ですが、このドームは太陽を追いかけます。
複数のプリズムが設置され、太陽の光を受けると
ドーム内部に虹が映し出されます。
その虹は、天候や時間とともに姿を変え、
自然はいつも変化していることを教えてくれます。
2週間ごとに、完全な円を描くのだそうです。
そして、ギャラリーに入ると、天井から自然光が入る明るい空間。
ここに、1950年代以降の巨匠たちの作品が並び、
静かに時を刻んでいます。
中でも印象的だったのが、束芋と草間彌生のインスタレーション。
束芋の『真夜中の海』、
真っ暗な部屋、白い波のアニメーション、
始めは小さな波であったのが、いつの間にか大きな波になり、
鏡によって増幅され、私たちに迫ってきます。
草間彌生の『ミラールーム(かぼちゃ)』、
この部屋に入ったとたん、
黄色の壁と黒の水玉に、「うわっ」と声をあげてしまます。
中央には鏡張りの立方体が鎮座。
立方体の中には、やはり黄色と黒のかぼちゃがぎっしり、
当初、原美術館が購入したのは、中央の立方体、
壁と天井の黄色に黒は、美術館側から提案したのだそうです。
草間さんもこの提案を気に入ってしまい、
1993年のベネチアビエンナーレ日本館に、
そっくりそのまま移築したといいます。
このストーリーこそこの美術館の最大の魅力、
アーティストをもうならせるアイデアを出す学芸員があってこそ、
珠玉の作品が最高の輝きを放つことができるのです。