『プルートゥ PLUTO』
鉄腕アトムのエピソード「世界最大のロボット」を
浦沢直樹がリメイクした作品。
コンテンポラリーダンスの振付師シディ・ラルビ・シェルカウイが舞台化した。
アトム(森山未來)はときにしなやかに舞う。
浦沢直樹の作画やデジタルの効果をふんだんに使い、
メディアアートと呼んでもいい作品に仕上がった。
壊れたロボットの部品が捨てられたゴミの山が
突然、一面のお花畑に変わり、
人間の2倍以上もあるプルートゥの登場と圧巻のシーンが続く。
第39次中央アジア紛争が集結し、人間とロボットが共存している時代。
世界最高水準の7体のロボットのうち5体が何者かに襲われ殺害された。
そしてアトムもまた、花の絵を描く謎のロボットに殺されてしまう。
残されたゲジヒト(寺脇康文)は、プルートゥが犯人であること、
そして、この事件の真相に迫ろうとしていた。
一方、アトムの生みの親、天馬博士(柄本明)は、
アトムが持っていなかった「憎しみ」をインストールすることで復活させる。
プルートゥと戦うために...
人間が、感情を持ったロボットを演じるパラドックス!
ロボットたちは人間に翻弄されながらも、
人間とは異なる潔さを見せる
そんな姿に私たち人間は心をうたれる。
ケジヒトの妻ヘレンとアトムの妹ウラン、
二人の女性ロボットを演じた永作博美。
自由奔放なウランに対して、聡明で想いを胸に秘めたヘレン、
ケジヒトを失い静かに流す涙がせつない。
デジタルな舞台作りの最後の最後でアナログの雪を降らせ、
爽やかな風とともに幕は降りる。