Espace Louis Vuittonで行われていた『IN SITU-1』
部屋に入った瞬間圧倒される巨大建造物。
しかも、その建造物は壊れかけている。
この作品を制作したソ・ミンジョンさんは、
破壊の瞬間のインスタレーションを数々発表している。
今回は、この場所で昨年9月から11月まで公開制作を行っていた。
一度完全な建造物の状態を創り上げてしばらく展示し、
それを解体して、破壊の瞬間を改めて制作したという。
タイトルの『IN SITU』は、「その場所で」というラテン語で、
この会場で全ての制作が行われたことを意味する。
この作品は、建造物を中から爆発させた瞬間を描き、
柱が四方八方に飛び散ろうとしている。
一部宙に浮いた柱があり、
凝縮していたエネルギーの拡散を感じることができる。
破壊の瞬間を描くにあたり、
あらかじめ模型を作って、どのように破壊すればいいかを研究した。
ゴジラやウルトラマンの特撮の人たちが、いかにリアルにダイナミックに
建物の破壊シーンを撮影できるかを研究していたのに通じるものがある。
破壊の瞬間ではあるけれど、創造の行為。
創造と破壊の境界をなくす、
ソ・ミンジョンさんが制作をするうえで大切にしているコンセプト。
このような破壊の瞬間は、記録映像を残しでもしないかぎり
なかなか目にすることはできない。
見ることのできない瞬間を表現しているからこそ、
作品を観る私たちにいろいろなことを語りかけてくる。
この作品は、会期終了後、本当に解体され永遠に姿を消す。
存在自身も瞬間である作品の美しさ。