この冬リニューアルオープンした東京都庭園美術館
旧朝香宮邸のアール・デコ様式の部屋が展示室となっています。
食堂も寝室も展示室になっていて、
それぞれ壁の装飾や照明が異なっています。
そんな部屋を巡っていると、
マントルピースの上に小ちゃな人形が佇んでいるのに出会います。
内藤礼さんが「ひと」と呼んでいる彫刻。
大きな部屋にたった一人で、どことなく寂しげ。
小さく、しかも向こうをむいているので、
表情を感じとるのにかなり近づく必要があります。
そして、次の部屋に入ると、どこに彼がいるのか
気になって探し始めます。
いつしか、彼がいることで部屋には優しい空気が流れていることに気づきます。
向こうをむいた彼が、明日の夢を語ってくれているよう。
内藤礼さんが「ひと」を創り始めたのは、3.11以降、
「きぼう」の方を向く存在なのだそうです。
そんな思いで創っているからこそ、
小さくても、大きなエネルギーをもっているのですね。
新たにできた新館のギャラリーには、
「color beginning」と題された
白いペインティングが10枚展示されています。
これもまた静かな存在感があって素敵な作品です。
アール・デコとの対比が鮮やかな
白いスクエアな空間、
この美術館がこれまでの歴史を尊重しながらも
新たな「きぼう」に向かって進もうとする意志を感じます。