キヤノン『写真新世紀2014』のグランプリに選ばれた須藤絢乃さん、
受賞作品は『幻影ーGespensterー』。
須藤さんは、セルフポートレートを発表し続けています。
これまでは、かわいい写真を撮っていましたが、
この作品は、ファインアートへの飛躍となるものです。
交番の前などに貼られている行方不明の少女たちの写真、
古くなっても、ずっとそこに貼られています。
少女の周りにいた人たちにとって
彼女の姿は失踪したときのまま、
ここだけ時間が止まっています。
ところが、彼女は、どこかで生きているなら
少しずつ年をとって、
違う姿になっているはずです。
そんな不条理さに気がついた須藤さんは、
失踪した当時の写真を元に
少女達に扮し、ポートレートを作成しました。
ポートレートは全部で21枚。
性格も生い立ちも違う少女たち、
ひとりひとりの特徴がとてもよく表現されたポートレート。
淡い詩的なプリントですが、
コンセプトを知ると、
ただきれいなだけではなく
社会的メッセージのつまった作品であることがわかります。
一枚一枚自分でプリントし、
瞳などに光沢のアクセントを入れて完成させています。
この『幻影ーGespensterー』、写真集も発売され、
早速手に入れました。
しかもオリジナルプリント付きの限定版!!
コンテンポラリーアートへの扉を開いた
記念碑的な作品。
これからの飛躍がとても楽しみです。