北海道立近代美術館、札幌芸術の森美術館などで
開催されている『札幌国際芸術祭2014』
アソシエイト・キュレーターの飯田志保子さんに
企画意図や作品・作家についてお話していただきながら
作品を鑑賞するという贅沢な経験をしてきました。
札幌としては初めての国際芸術祭、
いまや世界のあちこちで国際芸術祭が行われており、
札幌で開催する意味を見せる必要があります。
札幌の成り立ちを語り、
自然豊かな大地と都市の姿を感じさせる作品を展示することで
新しい芸術祭を演出しています。
しかし、広大な北の大地そのものを
美術館に押し込めるのは無理があります。
飯田さんが選んだ作品は、
主題をストレートに見せず、
感性で観るアート。
平川祐樹さんの『Vanished Forest』
足下と天井に置かれたモニター。
足下のモニターには切り株の映像、
天井のモニターは、真ん中があいていて
その周りを揺れる木の葉。
少し離れて2つのモニターを観ていると
かつてすくっと伸びていた木の幹が浮かんできます。
それは、幹をプロジェクションするよりも鮮やかで
いつまでも記憶に残る光景。
古く錆びたトロッコの周りに置かれた白いお椀。
宮永愛子さんの『そらみみみそら(mine・札幌)』
じっとこの場所で佇んでいると、
微かな音が聞こえてきます。
この日は、残念ながら聞こえませんでしたが、
お椀の釉薬と陶器の膨張率の違いで、
少しずつ表面にヒビが入るときの音。
今回の作品は、札幌の発展に貢献し今は廃坑となった
鉱山の水を使って作ったお椀。
そこに水がないのに水を感じ、
古びたトロッコに山の面影を感じ、
じっと音の鳴るのを待っていると、
そこで働いていた人々の躍動を感じます。
現代アートのもつ力
それは、姿なき空間がもたらす計り知れない力