EYE OF GYREで行われている清川あさみさんの個展。
部屋中に並べられた本の数々、なんとも壮観な眺め。
「わたしたちのおはなし」と題された作品。
それぞれの本に刺繍が施されています。
清川さんが持っている本の中から印象に残る100冊を選んで、
その時の気分で開いたページに、
瞬間の気持ちを刺繍でドローイングしています。
本の物語の上に糸が編まれることで、
新たな物語が紡がれていきます。
今にも糸が本から飛び出し踊り出しそう。
Takuro Someya Contemporary Artで行われているグループ展。
60冊の文庫本がぐにゃっとねじれて壁に貼られています。
彫刻家、飯田竜太さんの作品です。
無造作にねじっているようですが、タイトルや作家の名前が見えません。
文字を消し去り彫刻にしているのです。
それぞれ異なるねじれになっていますが、
本自身が意志を持って何かを訴えているようにも見えます。
装飾的装丁の岩波文庫と、シンプルな装丁の新潮文庫+後発連合の対比も面白い。
もともと本は、文字が書によって情報が記されています。
その情報を多くの人に知ってもらいたいがために、
数千部、数万部といった数を発行しています。
一方、ここで紹介したアートは、
文字を隠し情報を閉じ込めることによって、
世界に唯一の作品として生まれ変わります。
この価値の変換が、本というメディアを使った作品の魅力ですね。
清川あさみ15周年新作個展「ITOTOITO」
2016年4月2日〜5月15日
EYE OF GYRE
グループ展「飯田竜太 鈴木基真 山下麻衣+小林直人 矢津吉隆」
2016年3月26日〜4月23日
Takuro Someya Contemporary Art