JBpressが運営している「Japan Innovation Review」の「良書抜粋」で、弊社代表・長谷川一英の著書『「アート思考」の技術』が取り上げられました。
Japan Innovation Reviewは、日本の企業や社会で変革/イノベーションに取り組むリーダーの、“すべての挑戦”を見届けたいという思いで、様々なイノベーションの事例を紹介しています。「良書抜粋」は、リーダーたちの必読の書籍の一部が抜粋・再編集されています。
『「アート思考」の技術』は、5回にわたって特集される予定です。第1回は、「GAFAMが熱視線を送る「アーティスティック・インターベンション」とは何か? 現代アートを読み解くことが、イノベーションや新規事業開発につながる理由」というタイトルで、「アート思考」の定義、「アート思考」がイノベーションを引き起こす起爆剤になることについて説明しています。
「アート思考」を定義づけする
「アート思考」は、学術的には明確に定義されていないものの、これまでは、「美意識を鍛えて、主観的によりよい意思決定を行うための思考方法」と捉えられてきました。しかし最近では、「アーティストが作品を制作する過程での着眼点や問題意識、それらを発展させていくための思考方法」という意味で用いられることが増えています。
『「アート思考」の技術』では、「アート思考」を「自らの関心・興味を起点に、革新的なコンセプトを創出する思考」と定義しています。これは、現代アートのアーティストたちが作品を制作する際に発揮する思考パターンと共通点があるからです。
アーティストの「常識にとらわれない思考」との出会い
私は長年、製薬業界におりました。製薬業界の大きな課題は、新薬の研究開発の成功確率が非常に低いことで、3万1000分の1ともいわれています。3万1000個の候補化合物の中から、たった1つだけが薬になるという確率です。しかも、研究開発にかかる時間は、9年から17年といわれていて、研究開発費は数百億円から数千億円にのぼります。
新薬につながるイノベーションをもっと効率よく起こすことはできないかと考えていました。
一方、プライベートでは、現代アートのコレクションをしたり、アートイベントを主宰していました。そのなかで、現代アートのアーティストたちと交流するようになり、彼らの新たな視点とアプローチに触れる機会がありました。アーティストは従来の常識にとらわれず、常識を覆すような斬新なコンセプトを提示しており、非常に興味深いものでした。
アーティストたちに、どのようにして新しいコンセプトを考え出すのかを尋ねたところ、「興味をもった事象に関して、丹念にリサーチし考えている間に思考が飛躍する瞬間がある」と答えてくれました。これは、ビジネスパーソンが新しい製品やサービスを考える際のプロセスと似ています。
アーティストの思考がイノベーションへと導いてくれる
『「アート思考」の技術』では、アーティストがどのような視点・思考で、革新的なコンセプトを創出しているかを、作品と共に紹介しています。
さらに、ビジネスパーソンが、同じように斬新なコンセプトを創出できるようになるためのワークも提供しています。このワークは、アーティストたちと議論して組み立てて、実際にいくつかの場で実施し、効果があることを確かめたものです。
アートというと、ビジネスとは遠い存在と思っている人も多いと思います。それは、アートは、美しい絵のことだという固定観念によるものです。
『「アート思考」の技術』で紹介している事例に触れていただければ、現代アートは実はビジネスパーソンの身近な存在で、イノベーションのきっかけを与えてくれるということがおわかりいただけるものと思います。
『「アート思考」の技術』が皆様に新しい視点をもたらすことを願っております。
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新刊『イノベーション創出を実現する「アート思考」の技術』を出版しました