2020年2月20日に開催された文化庁主催シンポジウム「企業の文化投資は経済界・文化界に何をもたらすのか」に弊社代表の長谷川一英が登壇しました。
文化庁は、2019年12月に「文化経済戦略」をまとめ,国・自治体・企業等による文化芸術への投資により新たな価値を創出し,それらが文化芸術に再投資される「文化と経済の好循環」の実現を目指しています。今回は、文化経済戦略に関する世界の潮流や国内の事例を紹介し、企業からの文化投資が活発化することを目的に行われました。
イノベーションのドライバーとしてのアート
長谷川は、「イノベーションのドライバーとしてのアート」と題して講演しました。
現在は、企業環境が大きく変化していて、SDGsなどに対応していくことが必要になっています。社会課題を見出し解決していく時には、テクノロジーイノベーションだけでなく、ミラノ工科大学のRoberto Verganti教授が提唱している「意味のイノベーション」が重要です。
「意味のイノベーション」を起こすには課題を見出すことができる、アーティスト思考を取り入れることが適切と考えます。これを裏付ける事例がいくつかあります。
「意味のイノベーション」を起こしているユニコーン160社のうち、21%で芸術系の教育を受けた人が創業者になっています。
アーティストと企業やエンジニアとのコラボレーションで「意味のイノベーション」を起こした事例として以下のようなものがあります。
・名和晃平とUDS社とのコラボレーションによる「ホテルアンテルーム 京都」
・中谷芙二子とMee Industries社による環境に優しい霧の生成技術の開発
・オラファー・エリアソンとフレデリック・オッテセン(技術者)による貧困地域の子供達のための太陽光発電ライトの開発
「意味のイノベーション」を起こすために必要となるアーティスト思考の要素は以下の通りです。
・思考の飛躍により社会課題を提起する力
・困難な状況でも、自分の創りたい作品を創りあげる突破力
・共感を呼び周りを巻き込む力
E&K Associatesでは、企業がアーティスト思考を活用して「意味のイノベーション」を起こすためのプラットフォームを構築し、産業界に貢献していきます。
開催概要
日時:2020年2月20日(木)14:30~17:30
会場:国立新美術館3階講堂 (東京都港区六本木7-22-2)
プログラム:
14:30~14:45
文化庁が推進する“文化と経済の好循環
今里譲 文化庁次長
14:50~15:10
基調講演:文化と経済の好循環を生むためには
青柳正規 多摩美術大学理事長,山梨県立美術館館長,東京大学名誉教授,前文化庁長官
15:15~15:35
イノベーションのドライバーとしてのアート
長谷川一英 株式会社E&K Associates 代表
15:40~15:55
アーティスト思考について
AKI INOMATA 美術家
16:10~17:10
パネルディスカッション
青柳正規 多摩美術大学理事長,山梨県立美術館館長,東京大学名誉教授,前文化庁長官
AKI INOMATA 美術家
長谷川一英 株式会社E&K Associates 代表
前田育男 マツダ株式会社常務執行役員
17:10~17:30
参加者交流会
関連リンク
・「美しさには力がある」前田育男氏が語るマツダ・ブランドの変革
・企業の文化投資は経済界・文化界に何をもたらすか? シンポジウムレポート
・文化と経済の親和性を高める。「文化経済戦略」の今とこれから 〜文化庁シンポジウム《前編》
・いまこそ、アーティスト思考が求められる時代 〜文化庁シンポジウム《中編》
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・アート思考によるモノ作りを成功させる秘訣とは – マツダ「魂動デザイン」