人工生命の演じるアートは人間の新しい感情に気づかせてくれるのか – 池上高志「オルタ」

人工生命 池上高志 オルタ

 

「六本木クロッシング2019展:つないでみる」で、機械人間「オルタ」の映像が上映されています。

「オルタ」は、人工生命(ALIFE)の第一人者である池上高志さんと

ロボット研究者の石黒浩さんが共同で進めているプロジェクトで、自律的に動くアンドロイド。

 

2019年4月9日、池上高志さんが、人工生命「オルタ」を研究することで

私たちに何がもたらされるのかについてトークを行いました。

ルンバは人工生命か

機械には2種類あるという話、

ひとつは人間が行っていることを自動的に行うもの、

もう一つは自分で何をするかを決めるものです。

自らの意思で動く機械は生命そのものなのではないかと考え、後者を作ろうとしています。

 

また、人工生命を作れば、そこに人工知能も付随してくると考え、

最初に創るべきは人工生命だと言います。

 

ロボット掃除機・ルンバは、自分で勝手に掃除をしてドックに戻ってきます。

かなり人工生命に近い感じがしますが、やはり生命とは言いにくい。

生命と呼びにくい理由を考えると以下の4つぐらいが挙げられます。

 

コンピューターの計算速度が遅い

パラメーターが正しくない

モデルが簡単すぎる

まだ発見されていない理論がある

 

池上さんが注目しているのは、最後の発見されていない理論があるということ。

生命になるための最後の一滴が足りない、その一滴が何なのか。

 

DNAではなく言葉が必要

生物学のアプローチは、DNAが生命の設計図という考え方でした。

しかし、ヒトのDNA配列が明らかになっても、

生命についてなおわからないことだらけです。

別のことを考えなくてはなりません。

 

物理学は、このようなときに“言葉”を作ると池上さんは言います。

私たちがそれまで考えつかなかったことだけれど、

その概念を導入しないと説明できないことがあります。

そんなとき、その概念に新たな言葉をつけるのです。

 

例えば、「心」という漢字が出てくるのは、最古の漢字が登場してから300年くらい後といわれています。

それまでは「心」という概念はなかったと考えられますが、

殷の時代に「心」という言葉と概念ができたことで、殷周革命につながったそうです。

 

日本でも元号が変わると時代が変わるように感じたり、

元号の文字から、どんな時代になりそうかを語ってみたりしますが、

これも新たに作った言葉がもたらす力です。

 

人工生命 池上高志 オルタ

アンドロイド・オペラ『Scary Beauty』

池上さんは渋谷慶一郎さんと、アンドロイド・オルタ3が人間のオーケストラを指揮し、

自ら歌うというアンドロイド・オペラ『Scary Beauty』を行いました。

「アンドロイドが人間を支配して、オーケストラを率いる」というシチュエーションが、

新しいことを生み出すと考えたのです。

 

ところが、最初はオルタの指揮にオーケストラが合わせることができなかったそうです。

ある時、オルタが肩で息をするような動作をすることができるようになりました。

演奏者は、実は指揮者の呼吸を見ているのです。

 

オルタとオーケストラとのこのようなコミュニケーションを続けることで、

指揮に合わせることができたのです。

 

この試みにより、人間関係やコミュニケーションの本質を発見することになりました。

 

人工生命と人間の新しい可能性

このように、人工生命の研究・アートを続けることで、今まで気がつかなかった新しい概念に気づく、

さらには、新しい感情や思い、脳の働きを発見することになると池上さんは考えています。

 

私たちは人工生命とともに人生の新しい可能性やユートピアを目指すことになるのです。

 

開催概要

六本木クロッシング2019展:つないでみる

会期:2019年2月9日~5月26日

会場:森美術館

東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階

 

関連リンク

六本木クロッシング2019展:つないでみる

池上高志

石黒浩

Scary Beauty

ロボットと人間は恋に落ちるか? アンドロイド・オペラ『Scary Beauty』の渋谷慶一郎さんに聞いた。

六本木クロッシング2019 – ネコのインスタレーションに感じる新たな価値

 


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