東京オペラシティアートギャラリーで、トム・サックスの個展が開かれています。
トム・サックスはニューヨークを拠点に活動しているアーティスト、
日本の美術館では初の個展です。
2016年に、ニューヨークのThe Noguchi Museumで
“Tea Ceremony”の展示を行いましたが、
イサム・ノグチ以外で初めて個展を行なったアーティストになりました。
トム・サックスが描く茶の湯の世界
トム・サックスならではの解釈で茶の湯の「CORRIDOR」「INNER GARDEN」
「OUTER GARDEN」「HISTORICAL TEA ROOM」を創り上げています。
トム・サックス自身は2012年からお茶を勉強しているそうですが、
客として振る舞うにも主人としてもてなすにも、かなりの期間を要します。
一方で、彫刻であれば30年間のキャリアがあります。
そこで、彫刻で自らの茶の湯の世界を描いてみようと企画しました。
OUTER GARDENでは、イサム・ノグチの作品を
ダンボールで再現した「Narrow Gate」が私たちを迎えてくれます。
「Torii(Middle Gate)」をくぐると、
巨大な池「Pond Berm」が庭らしさを演出しています。
そして、ボーイング767の化粧室のレプリカまであります。
INNER GARDENにはTea Houseがあって、
オープニングの時は、ここでトム・サックス自身がTea Ceremonyを行いました。
茶筌にモーターがついていて、自動でお茶をたててくれたり、
随所にトム・サックスらしいネタが仕込まれています。
精神性、官能性を理解して新しい型に挑む
トム・サックスは、人々が何かをするには3つの理由があると言います。
精神性、官能性そしてハードウエアです。
Tea Ceremonyにおいては、精神性は禅、官能性は畳の匂い、着物の型、抹茶の味。
ハードウエアは、茶室、茶碗、茶筌など様々な道具があります。
彫刻は彼の得意技ですが、ちゃんと精神性と官能性を理解して制作しているので、
奇想天外ながらも、どこかに茶の湯の世界を感じることができるのでしょう。
私たちは、伝統を守らなくてはと思い、型を身につけるのに長い時間をかけますが、
トム・サックスが言うように、精神性や官能性を理解したうえで
新しい型にチャレンジしてみると、
今まで気がつかなかった扉を開けることができるかもしれません。
そんな扉を見せてくれた展示です。
開催概要
Tom Sachs “Tea Ceremony”
会期:2019年3月20日〜6月23日
会場:東京オペラシティアートギャラリー
東京都新宿区西新宿 3-20-2
Tom Sachs “Smutshow”
会期:2019年4月20日〜5月25日
会場:小山登美夫ギャラリー
東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F
Tom Sachs “Indoctrination Center”
会期:2019年4月20日〜5月14日
会場:KOMAGOME1-14 cas
東京都豊島区駒込1-14-6
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