原美術館で、「THE NATURE RULES 自然国家 Dreaming of Earth Project」が行われています。
非武装地帯(DMZ)
朝鮮半島の北緯38度線の一帯は、非武装中立地帯となっています。
一面に地雷が敷設されているため、足を踏み入れることができません。
65年の時間が流れ、この地域には豊かな生態系が生まれていて、
5000種の野生の動植物が生息していると言われています。
崔在銀、Dreaming of Earth Project
この生態系を守りたいと、アーティストの崔在銀さんが立ち上げたのがDreaming of Earth Projectです。
このプロジェクトは4つの企画からなります。
・空中庭園・東屋・塔を設置し、人々が豊かな生態系を観察できるようにする。
これらの建築物は基本的に、自然の素材のみで制作し、生態系に還ることができる。
・非武装地帯に生息する生物のシーズバンク、知識の地下貯蔵庫の建設・保管
・戦争で破壊された森の治癒
・地雷撤去
原美術館で展示されている現代アート
今回の展覧会では、プロジェクトのプランのいくつかをドローイングや模型などで紹介しています。
中でも主催の崔在銀さんの作品が素敵です。
非武装地帯に幾重にも張り巡らされている鉄条網、
これを鋳直し、誰でも上を歩いていいという鉄のプレート、「hatted melts like snow」。
この作品は、南北統一のビジョンに向け一歩踏み出す崔さんの望みが表現されています。
鉄条網を焼く映像は、祝祭の花火のようにも見えます。
そして、101の絶滅危惧種の名前を一つ一つ白磁のプレートに記載した「To Call by Name」。
整然と並べられ、墓地のような静寂。
私たちに問いかけること
一方、2019年4月3日、韓国政府は、非武装地帯に遊歩道を設け、
観光スポットとして解放することを発表しています。
それにしても、戦争や災害で人が入らない地域が、豊かな生態系を回復していきます。
現代アートが提示する生態系保護のプランが壮大で美しく、
実現までの道のりが遠いものであればあるほど、
人間が地球や他の動植物にとって迷惑な存在であることが際立ちます。
私たちが考えるべきは、今までの活動を続けつつも、
地球や他の動植物から愛される存在になるにはどうしたらいいかということ、
とても難しい課題です。
開催概要
THE NATURE RULES
自然国家
Dreaming of Earth Project
会期:2019年4月13日〜7月28日
会場:原美術館
東京都品川区北品川 4-7-25
出品作家:坂 茂、チョウ ミンスク、崔在銀、チョン ジェスン、
川俣正、キム テドン、イ ブル、李禹煥、スン ヒョサン、スタジオ ムンバイ、
スタジオ アザー スペーシズ:オラファー エリアソン アンド セバスチャン ベーマン
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