2018年に日本で行われた展覧会の入場者数が発表されています。
1位は森美術館で開催された「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」
61万人と他を圧倒しました。
だまし絵の作品や、自分が作品の中に入り込み、
建物から今にも落ちてしまいそうな写真を撮ることができるなど、
エンターテインメントの要素が多い展覧会でしたが、
現代アートの展覧会が1位を獲得したのはなかなかすごいことです。
一方で、3位から5位は印象派関連の展覧会、日本人はやはり印象派が好きですね。
現代アートはわからない
印象派に比べて、現代アートはわからないとよく言われます。
私も、よくわからないなと思っていたことがありました。
それでも、現代アートに触れてみると、
印象派の作品では得られないような面白さや楽しさがあって
今ではすっかりはまっています。
現代アートの最大の特徴は、アーティストが生きていて、
今も作品を創り続けていることと言っていいでしょう。
0→1を創り出すアーティスト
アーティストは、独自性のある0→1の作品を創らなければなりません。
新しいものを生み出すためにどういうことをしているのかを
間近で観ることができるのはとても楽しいことだし、
自分が新しい企画を考えるときにヒントを与えてくれます。
最先端のテクノロジーを使ってこれまでにない表現を追求している
名和晃平さん、平川紀道さん、黒川良一さんのようなアーティストがいます。
また、誰も気が付かない独自の視点で社会をみつめたり、
埋もれた歴史を紐解いたりして、新しいコンセプトの作品を創っているアーティストもいます。
毛利悠子さん、田村友一郎さん、荒木悠さんといった人たちです。
森美術館で行われている六本木クロッシングに出品している田村友一郎さんの『MJ』では、
マイケル・ジャクソンとアポロ計画を結ぶストーリーが展開され、
最後に私たちに重要な問いが投げかけられます。
資生堂ギャラリーで行われている荒木悠さんの個展では、
明治時代に日本を訪れたピエール・ロティが書いた見聞録をもとにした作品が展示されていますが、
このピエール・ロティという人物、
よほど明治時代に詳しくなければ、出会うことはないでしょう。
彼らの創作にまつわる話を聴くと本当にワクワクします。
話を聴いたうえで作品も観ると、
最初はなんだかわからなかったものが、輝いて観えるのです。
そして、アーティストは、新しいものを創る必要があるので、
アートの歴史をちゃんと学び、文脈の流れに自分の作品をのせることも重要です。
私たちも、アートの歴史を学んでおくと、
先達の作品が取り込まれていることに気づいたりして、より理解が深まります。
アーティストの思考を知るために
美術館の展覧会では、アーティストトークや
キュレーターによるギャラリートークがときどき行われています。
また、ギャラリーの展覧会では、オープニングの日に行くとアーティストが在廊しています。
そんなチャンスをみつけて、アーティストの話を是非聴いてみてください。
今までわからないと思っていた現代アートの楽しさに気づくことでしょう。
関連リンク
1位はレアンドロ・エルリッヒ展の61万人。2018年美術展覧会入場者数 TOP10
資生堂ギャラリーで舞踏会 – 『荒木悠展 : LE SOUVENIR DU JAPON ニッポンノミヤゲ』