ANAインターコンチネンタルホテル東京の館内で
吉野ももさんと中根航輔さんの二人展が行われています。
吉野さんは、折り紙をおったときの3次元のモチーフを
2次元のパネル上に制作しています。
一見不思議な感覚に陥る作品です。
吉野さんは、2014年にロイヤルアカデミースクールに留学しました。
そのとき、ヨーロッパは石造りの住宅で日本とかなり状況が違うことから、
日本人と西洋人の空間認識に興味をもちました。
折り紙文化
西洋の建築は「壁の建築」、どの部屋も厚い壁で仕切られています。
一方の日本の建築は、軸組文化、柱のまわりは障子や襖という薄いもので仕切られています。
そして障子や襖は紙でできています。
日本の住宅が紙だらけになったのは、折り曲げに強い紙を生産できたことによると言われ、
「折り紙」文化が形成されました。
障子や襖をきちっと閉めることや、
折り目正しいという言葉に「折り紙」文化は表れています。
また、“紙を折る”は、“神が降りる”に通じると吉野さんは言っています。
彼女の作品は、ポップで楽しい作品ですが、本当に折り紙のように見え、
折り目もぴしっと描かれていて、さらにパネルの裏目にも折り紙の色をつけているといった
「折り紙」文化が反映された作品ということができます。
「間」の取り方
中根さんは、日本画の作家さんですが、
四角い面の中にさらに四角のモチーフを岩絵具を使って描いています。
四角は人工的な形状ですが、少しずらして配置したり、
岩絵具でコケのような色や錆のような色を出すことで
自然を感じさせる作品にしています。
古い住宅の壁のようにも見えるし、襖の絵のようにも見えます。
間の開け方や、配置の仕方に、日本人の空間意識を観ることができる作品です。
作品のタイトルが「四角にシカク」、
後ろのシカクがカタカナなので、四角だけでなく、
視覚や死角などいろいろとイメージできるところも面白い。
開催情報
吉野もも・中根航輔 二人展「画のなかとそと」
会期:2019年4月3日 – 7月3日
会場:ANAインターコンチネンタルホテル東京
東京都港区赤坂1-12-33
関連リンク
ANAインターコンチネンタルホテル東京
https://anaintercontinental-tokyo.jp/
ART PLATFORM TOKYO
吉野もも