原美術館でソフィ・カルの「限局性激痛」の展示が行われています。
1999年〜2000年に原美術館で行われた展示の再現です。
ソフィ・カルは1953年パリ生まれのアーティストで、
写真と文章で構成される
コンセプチュアルな作品を制作しています。
「限局性激痛」は1部と2部からなり、
やはり写真と文章で構成されています。
1部では日本に3ヶ月留学した時に訪れた風景や
彼に宛てた手紙の写真が綴られています。
そして日本の滞在が終わった時、
失恋という悲劇が訪れたのです。
2部ではソフィ・カルの失恋の話と、
彼女の友人や知人が経験した「人生最大の不幸」の話が
刺繍として描かれています。
ソフィ・カルの心の痛みは、
知人の不幸の話を聞いているうちに薄らいでいき、
刺繍の文字の色が地の色に似てきて、読めなくなっていきます。
私小説的な作品に見えますが、
ソフィ・カルは、自分の体験をそのまま作品にすることはしていないと言います。
一歩脇にそれて自分の体験を客観視することで、
人が悲しみや苦しみを経験した後、
それを人に話すことで心が癒されることを描いているのです。
個人の体験を超えて一般化させることで、
鑑賞している私たちは自分の経験に思いをはせるなどして
この作品に深く共感できるのです。
なお、ギャラリー小柳、ペロタン東京でもソフィ・カルの個展が行われています。
ソフィ カル ─ 限局性激痛 原美術館コレクションより
会期: 2019年1月5日〜3月28日
会場:原美術館
東京都品川区北品川4-7-25
ソフィ・カル なぜなら
会期:2019年2月2日~3月5日
会場:ギャラリー小柳
東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル9F
ソフィ・カル「Ma mère, mon chat, mon père, dans cet ordre(私の母、私の猫、私の父、この順に)」
会期:2019年2月2日〜3月10日
会場:ペロタン東京
東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1階