冨井大裕「線を借りる」

冨井大裕

1月25日までvoid+で行われていた冨井大裕さんの個展「線を借りる」

壁にかかるファッションブランド「tac:tac」のマント、

そしてその隣にアクリル板でできた彫刻。

アクリル板は微妙なカーブでカットされています。

冨井大裕

実はマントの型紙を使ってアクリル板をカットしています。

ファッションデザイナーが創った線を借りた彫刻。

それはデザイナーの思考を再現する行為でもあります。

 

彫刻は透明のアクリルと青いアクリルの2つ置かれています。

冨井大裕

冨井大裕

青い作品、さりげなく置かれていますが、

とてもイノベーティブ。

 

この青いアクリル板、透明のアクリル板をカットした後、

冨井さんが自分で染めたと言います。

 

アクリル板を生地に見立て、染色までしてしまう、

確かによく見ると濃淡があって、

工業的に青くしたアクリル板とは違うことがわかります。

 

「アクリルは繊維だから染められるんです!」と冨井さん。

 

ところが、分厚い板を染めるのは簡単ではなく、

70度に維持することでやっと染めることができたそうです。

 

アクリル板を後から染めることができるとなると、

様々な色のアクリル板を多品種少量生産できるようになり、

新たな製造法の開発にもつながるかもしれません。

 

ユニークな発想とそれを実現してしまうアーティストの恐るべき独創力。

 

冨井大裕「線を借りる」

2018年11月30日〜2019年1月25日

void+

東京都港区南青山3-16-14-1F