Yuka Tsuruno Galleryで流 麻二果さんの個展が行われています。
流さんは、鮮やかで透明感のある色を用いた油彩絵画を制作しています。また、絵画だけでなく、衣服などもメディウムに使用するなど、活動の幅を広げています。
これまでの作品は、それぞれの色がはっきりわかるように配置されている作品が多くありました。ところが、今回展示されている作品は、色を何層に塗り重ねていて、印象派の絵のよう。その色はなんとも美しく、久しぶりに正統派の絵画を観たような感じがします。
流さんは、2018年初めに印象派コレクションで知られているポーラ美術館で個展を開催しました。この時に、ルノワールやモネの作品を仔細に観察、彼らの作品に使われた色を重ねることで、『色の跡』というシリーズが生まれました。
今回の作品を観て、印象派のようと思ったのですが、印象派の作家たちが使った色には特徴があって、私たちはその色の特徴を思い起こすことができるんだということがわかります。
流さんは、今回、日本近代絵画の和田三造の『南風』の色彩にも注目しました。和田三造は日本標準色協会を設立し、色彩研究に力を入れてきました。流さんは、和田の作品を通じて、日本の伝統色についても探求をしています。
日本の伝統色は西洋の色とは違いますが、私たちは日本の伝統色もちゃんと認識できます。
色は文化や歴史と強くリンクしていて、人は色によって文化・歴史といった情報を呼び覚ますことができるのです。そんな色のパワーに気づかされた展示です。
流麻二果「色の足処」
2018年11月22日〜12月22日
Yuka Tsuruno Gallery