神奈川芸術劇場(KAAT)で行われている、さわひらきさんの個展。
劇場のブラックボックスの中央に、巨大なコの字型の壁がおかれ、
この壁に静かに映像が投影されていきます。
完全に閉じられた空間で、ここだけ違う時間が流れているよう。
そして、かなり広い空間であることを利用し、
映像が流れる中で、トークやパフォーマンスも行われます。
17日(土)の午後には、芸術監督の白井昇さんとさわさんのトークがあり、
制作の姿勢などを語ってくれました。
さわさんは、美術はアイデアを表現するものではないといいます。
言葉で説明して伝わることなら作品にする必要はなく、
言葉にできないものがあるから作品になるのです。
能登半島に住んでいた、さわさんの祖父が病気になったときに、氷を陸路ではなく船で運んできたというエピソードに着想を得た「Fish story」、
白井昇さんもコメントしていましたが、これまでの作品に比べてストーリーが感じられ印象的でした。
また、トークの後には、3人のパフォーマー(島地保武×環ROY×鎮座DOPENESS)によるダンスパフォーマンスも行われました。
誰がパフォーマーで誰が観客なのかもわからなくなるくらい渾然一体、
光に誘われ小さなこどももパフォーマンスを披露。
静かだった空間があっという間に祝祭の様相に変貌するところにアートの力を感じます。
さわひらき 「潜像の語り手」
2018年11月11日~12月9日
KAAT神奈川芸術劇場 3F中スタジオ