仮想通貨の世界のロートレック:Simon Denny -「Petzel at Nanzuka」

Simon Denny

NANZUKAで、ニューヨークの現代美術ギャラリーPetzelとの合同企画展
「Petzel at NANZUKA」が開催されています。
Petzel所属のSimon Denny、Sarah Morris、Joyce Pensato、Seth Price、Nicola Tyson
そして両ギャラリーに所属しているDirk Skreber、佃弘樹を加えた7人によるグループ展。

Joyce Pensatoが描くキャラクターの巨大ペインティング、
佃弘樹さんの、様々なイメージを組み合わせたインクのドローイングなど
ニューヨークらしい作品が並ぶクールな展覧会。

Joyce Pensato

佃弘樹

その中で特に印象的だったのがSimon Denny
ニュージーランド生まれ、ベルリンを拠点として活動していますが、
先端技術などを丹念にリサーチして、理想的なシステムを目指して
建設的な提案を表現したインスタレーションを発表しています。

今回展示されていたのは、アクリルボックスの中に墓石が設置された3つの作品。
墓石には「GOVERNMENT」、「DISRUPTION」という文字とグラフが描かれています。
そしてアクリルボックスの上に置かれた謎のオブジェ。

Simon Denny

これらはビットコインの特徴を表したインスタレーションなのです。

日本円のような法定通貨は、中央銀行が発行量をコントロールすることで、
政府は経済政策を進めることができます。
ところが誰もコントロールしていないビットコインが法定通貨に置き換わってしまえば、
政府はかなりの力を削がれることを墓石は表しています。

Simon Denny

Simon Denny

インターネットが当初、誰とでもコミュニケーションがとれ、
情報を自由に流通させられる理想的な仕組みであったのに、
いつの間にか、Googleのような企業が多くの情報を握り中央集権化してしまいました。
仮想通貨が急速に成長しているのは、
中央集権化をリセットしようという動きだとSimon Dennyは考えています。

そして、作品には、
“Facebook owned by its users”
“Decentralized Transportation Independent of Uber”
など、脱中心化を目指す文が書かれています。

Simon Denny

このSimon Denny、新たな社会の息吹をいち早くアートに描いていることから、
現代のToulouse-Lautrecと言われています。

彼が描く脱中心化社会、多くの挑戦を受け入れてくれる社会になってほしいものです。

とはいえ、法定通貨はまだまだ威力があります。
現状、Simon Dennyの作品はビットコインで買うことはできません。

Group show “Petzel at Nanzuka”
2017年11月23日 – 12月22日