集合知のアート – ラファエル・ローゼンダール『Convenient』

ラファエル・ローゼンダール

Takuro Someya Contemporary Artで行われているラファエル・ローゼンダールの展覧会、
色鮮やかなタペストリーがギャラリーの壁を彩っています。
このタペストリー、TwitterやInstagramといったインターネット上のお馴染みのサイトを表現したもの。

ローゼンダールはWeb上で作品を制作し続けています。
そして、Webサイトから文字と画像を消して、そのページを構成している各パーツを様々な色で染め分けるプログラム『abstract browsing .net』を開発しました。
このプログラムを使うと、どんなWeb siteも瞬時にカラフルなタイル状の画面に変換できます。

ローゼンダールは、SNSやグーグルといったユーザの多いページに着目。
これらは、多くのユーザーのユーザーエクスペリエンスを最適なものにするために改良が加えられ、集合知が集積されたページと言うことができます。

集合知を色のタイルで表現してみると、あたかも抽象絵画のようになっていて、
これをジャガード織りのタペストリーにしたのが、今回の作品です。
芸術作品を創ろうとしたわけではなく、ユーザーエクスペリエンスを追求した結果、
自然に美しいパターンが出来上がっているところに、この作品の面白さがあります。

また、Webの画面でもとても鮮やか面白いけれど、実体のあるタペストリーに変換することでより魅力的な作品になっています。

Twitterのパターンは予想通りとても複雑で見応えがあります。
一方で、Instagaramのパターンはとてもシンプル、コンテンツによって集合知の姿もが大きく変わることがわかります。これも、パターン化することで初めて見えてきます。

ラファエル・ローゼンダール

ラファエル・ローゼンダール

今回は、それぞれ単独のWebページのパターンを表現していましたが、
いまやコンテンツ同士が互いに連携していてエコシステムが作られています。
そんなサイバースペースを可視化すると、また新たなアートが見えてくるかもしれません。

ラファエル・ローゼンダール

ラファエル・ローゼンダール

ラファエル ローゼンダール | Convenient
2017年6月24日 – 7月29日
Takuro Someya Contemporary Art