KOKI ARTSでEvan Nesbitの個展が行われています。
展覧会のタイトルは「Headset」、
ヴァーチャルリアリティの画像をヘッドセットを通して観ているような
不思議な感覚の作品が展示されています。
Nesbitの作品の特徴は、pushing paint、
キャンバスなどの背面からアクリル絵具を押し出すという方法をとっています。
お芋を裏ごしすると、網に無数の針状の芋がつきますが、
それを同じように、キャンバスの表面に針状のアクリル絵具が
ピクセル様に並んでいます。
筆で塗っているのではないので、地の模様がちゃんと見えていながら、
針状の絵具の色がかぶってきて、ヴェールをかぶせたようです。
針の高さは揃っていないので、絵具の色が濃くなっている部分もあれば、
地がはっきり見えるところも。
作品に対する位置を変えると、観え方も変化するのも面白い。
Nesbitは、今回さらに新たなチャレンジを試みました。
従来のキャンバスではなく、ビニルを支持体に採用、
キャンバスでは全くの抽象画だったのに対し、
写真をビニルにプリントして、pushing paint !
写真をヴェールに包んだことで、秘密とか謎とかの要素が際立ってきました。
Nesbitはなぜこの写真を選んだのか、
絵具のヴェールをはがした時に現れる真実は何なのか、
そんなことを考えていると、
ヴァーチャルリアリティの世界にどんどん引きずり込まれていきます。
仮想空間を浮遊する至福の時間。
Enan Nesbit “Headset / Peripheral Vision”
2016年7月17日〜8月27日
KOKI ARTS