ニューヨークのJapan Societyで、
日本人アーティストの3/11をテーマにした展覧会が開かれています。
参加アーティスト17人は、作品を通して震災により何が失われ、
何が残されたのかを見つめています。
私は、これまでかなりの数の展覧会を観てきましたが、
これほど静寂に包まれた展覧会を知りません。
ただただ静かな世界。
その静寂の中、写真だけが数多の想いを語っています。
そして、この空間だけ時間もまた止まっているよう。
木村伊兵衛賞を受賞した新井卓さんのダゲレオタイプ、
「上野町から掘り出された腕時計/長崎原爆資料館のための多焦点モニュメント」が
時の静止を物語っています。
ここでは、印象的だった作品を幾つか紹介しましょう。
’11 3 11と日付の入った荒木経惟さんの雲の写真。
潘逸舟さんのLife Scan Fukushima, 2014、
一円玉のイメージを使って描いた福島第一原発。
放射能に汚染された福島の山林を撮り続けている瀬戸正人さんのCesiumシリーズ。
東北の人々の古くから伝わる神話的姿を撮り続けている
志賀理江子さんと田附 勝さん。
そして、津波に流され損傷し、持ち主と離れ離れになってしまった750,000枚の写真たち。
海を越えアメリカの地で持ち主を待ち続けています。
世界のどこよりもスピーディに躍動している街ニューヨークで、
時を止める静寂に身を置く、掛けがえのない経験。
In the Wake: Japanese Photographers Respond to 3/11
March 11 – June 12, 2016
Japan Society