Maki Fine Artsで末永史尚さんの個展が開催されています。
日常で使うモノがモチーフになっている展覧会で、
ギャラリーが文房具屋になったよう。
末永さんは、実寸大のパネルを作り、
実物と同じ色を塗って作品にしています。
グラフィックや文字は除かれていますが、
モチーフとなったモノがすぐにわかる作品です。
薄黄色の一辺8cmぐらいの六面体は、疑いもなく付箋です。
同じ六面体でも、寸法と色が変われば消しゴム。
この消しゴム、ギャラリーの隅っこにひっそり佇んでいますが、
一度気がついたら、目が離せなくなります。
須田悦弘さんの雑草の作品のような存在感。
シンプルな造形であつても、正確なサイズと正確な色が人の感覚に
与える効果はとても大きなものがあることに気づきます。
そして、今回の目玉とも言えるCDジャケットの作品。
末永さんが持っているCDのジャケットからグラフィックと文字を除いて、
背景色のみをペイントしています。
いくつも作品を作ってみたところ、モノトーンのシリーズと
カラーのシリーズに分かれることに気がつき、
それぞれのグループをまとめて作品にしています。
モノトーンが並んだシリーズと、カラーのシリーズを観ていると、
収録曲のトーンに差があるような感じがしてきます。
「Predominantly」というサイトがあります。
カラーグラデーションが表示されていて、そこから一つの色を指定すると、
その色をジャケットに使用しているアルバムをiTunesから選んでくれます。
このサイトで調べてみると、予想通り、音楽ジャンルやミュージシャンによって
使われる色に傾向があるのだそうです。
末永さんの、色を際立たせる作品制作は、
グラフィックや文字を除いて色だけにした時に、
初めて見える世界があることを物語っています。
末永史尚 「息づきの絵画」
2016年4月2日〜5月1日
Maki Fine Arts