東京オペラシティアートギャラリーで行われている
鈴木理策さんの個展『思索の流れ』。
風景を撮影した写真約100枚と、3つの映像作品が展示されています。
展示は大きく3つの部屋に分かれています。
最初は「海と山のあいだ」。
理策さんの故郷、熊野の風景を捉えた写真です。
私たちが風景写真を撮るとき、
主役となる山や大木を真ん中に配置しますが、
理策さんの写真は、どれが主役かわからない、
どうしてこの風景を撮ったのだろうか?というものがけっこうあります。
理策さんは、「見えていること」そのものを提示したいと考えていて
カメラを一旦置いたらそのまま撮影し、構図の調整などはしないそうです。
観る側からすると、主役が写っているとそればかり見てしまい、
周りは観なくなってしまいます。
ここに展示されている作品の場合は、全体を観ることになり、
その場所をより強く感じることができます。
第2の部屋「水鏡」に続いて
最後の部屋には「WHITE」、「SAKURA」そして「Étude」の
3つのシリーズが展示されています。
この部屋がとても美しいのです。
細長い大きな部屋、その壁に
銀世界の真っ白な写真と、満開の桜が並んでいます。
桜の花もとても淡い色で、
部屋全体が白い光で包まれています。
そして部屋の中央に、銀色のボックスが4つ置かれています。
このボックスの中を覗くと、
色鮮やかな花々の作品がぎっしり。
ボックスの中に、季節と色を閉じ込めた展示がなんともお洒落。
雪景色や桜の花を見るときは、遠くを眺めて広さを感じたり、
見上げたりしています。
一方で、小さな花を見るときは、
しゃがんで見下ろして、花びらの形や色を観察します。
自然への対峙の姿をも改めて感じさせる展示になっているのです。
鈴木理策写真展 意識の流れ
2015年7月18日 – 9月23日
東京オペラシティ アートギャラリー