横浜美術館で始まった蔡國強展『帰去来』、
日本では7年ぶりの大規模個展。
蔡さんが展覧会やアートプロジェクトを行う時は、
美術史や美術館を破壊しようという意気込みで取り組みます。
そして、今回は本当に横浜美術館を破壊してしまうのではという企画、
トレードマークの火薬ドローイングの制作を美術館の中で行ったのです。
横浜美術館の床は石でできていて、ホワイエの空間は非常に広く
天井は開閉式と、火薬ドローイングのための空間であったと言います。
8 m × 24 mの巨大ドローイングがホワイエの壁にかけれらています。
開館当初からそこに置かれていたかのような一体感。
蔡さんは、プロジェクトを行う場所の歴史などをリサーチして、制作に臨みます。
今回は、岡倉天心や横山大観が創出した朦朧体を火薬で再現しようとしました。
朦朧体は、線描を用いず、
彩描を絵具をつけない空刷毛を用いてぼかすことによって、
空気や光線などを表わそうとした表現方法。
これを火薬で描こうというチャレンジ。
まだ朦朧体には至っていないと思いますが、
荒削りのダイナミズムが潔い作品です。
火薬ドローイングは、非常に多くのボランティア、学生とともに制作しました。
一人の頭脳が考え出すアイデアには限りがあり、
多くの人と議論しながら制作をすることで、
新たなアイデアに繋がるインスピレーションをもらうことができるといいます。
展覧会初日の朝も、子供たちと、
「カラーテープでを昼間の花火を描こう!」
というワークショップを行った蔡さん。
夜の花火は一瞬の光ですが、
昼間の花火は、いろいろな仕掛けが考えられます。
子供達から数多の刺激を受け、
蔡さんの新たなプロジェクトへの挑戦が始まります。