発明へのアイデアスケッチ−鈴木康広『宇宙の黒板』

鈴木康広

東京エレクトロンの社員食堂「solaé」の空間を
アーティストに発表の場として提供するプロジェクト、
「solaé art gallery project」

第10回を迎えた今回のアーティストは、鈴木康広さん
日々発見する喜びを追い求め、
発見をアートワークで体験しています。

オープニングの日のみ、一般に公開されました。

「solaé」の壁にかけられた3枚の大きな黒板、
そこに描かれた数多のスケッチ。
よく見ると、タイトル通り、宇宙レベルのアイデアにあふれています。

鈴木康広
そして、黒板の中央には、それぞれの黒板のテーマとなる
立体のオブジェが設置されています。

「りんごのけん玉」、「回転遊具」、そして「ファスナーの船」

鈴木康広
木からりんごが落ちる瞬間、
下で待ち受けて串刺しにしたいという絵を描き、
「りんごのけん玉」を思いつきました。
既に商品化され、アマゾンでも販売されています。

けん玉の糸は地球の中心に向かい、重力を可視化しています。

重力といえば、ニュートンの時代からりんごですね。

鈴木康広
初めて国内線に乗って、朝、離陸したとき、
海に浮かぶ船がファスナーのように見えたといいます。
そこから考えついたのが「ファスナーの船」

実際にファスナーの船に乗りたいと考え、
様々な絵を描き、模型を作成、
ついには実際にファスナー型の船を造り、
航海を体験することができました。

船の軌跡を映像にとって逆回しすると、
水面をファスナーが閉じていく様子を見ることができます。

船とファスター、全く異なるモノですが、
共通する要素があることを発見しました。

誰もが目にしているりんごや船といった日常の風景から
彼にしかできない発見を生み出す力。

鈴木さんは、アイデアを思いつくと
ノートにスケッチを描いていきます。
これは、数学者や物理学者が、黒板に数式を描きながら
思考を巡らすことと同じこと。

そこで、彼の頭の中を、ノートではなく黒板に表現したのが今回の作品。
数学者と違うのは、黒板では描き直さないと決めたこと。

消すと黒板の漆黒の美しさが失われることに加え、
間違えても描き続けていくなかで、
新しい発見に出会うことができるのです。

鈴木康広


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