草月会館の石庭《天国》で、
陶芸家・桑田卓郎さんの展覧会が行われています。
この石庭は、イサム・ノグチが設計した空間、
天井からは自然光が差し込み、
階段状になったスペースにはモノトーンの石が配置されています。
水の流れる音がとても爽やか。
この落ち着いた空間に置かれた不思議でポップなオブジェたち。
桑田さんは、陶器とは思えない斬新な色遣いと
大胆なフォルムの作品にチャレンジしています。
しかし、石庭《天国》で出会った作品には、これまでとは全く違う、
圧倒的な存在感があります。
巨大な作品、最大のものは1トンあり、
屋内に入れることができず、入り口に鎮座しています。
大きいだけでなく、背筋がピンと伸びたように
凛とした立ち姿。
「梅華皮」(かいらぎ:焼成した時にできる釉薬のひび割れ)のように
釉薬を使った技法が桑田さんの特徴の一つ。
巨大な作品に対抗するかのような厚塗りの釉薬、
焼いている間にはがれかけ、土の表面を削りとっています。
このようにしてできた奇怪な姿、
灯りを消すと、生命を宿し動き出しそうな気配さえ感じられます。
桑田さんが魂をこめてチャレンジがイサム・ノグチと呼応し、
ポップでありながら、この空間にとてもフィットしています。
ずっと以前からここに置かれていたかのように呼吸しているのです。