横浜市民ギャラリーあざみ野で行われている
石川直樹『NEW MAP-世界を見に行く』
石川直樹さんは常に旅をしている。
ヒマラヤの8,000mを超える峰々や極地といった
普通の人がなかなか行けない場所、
日本周辺の島々、
1994年から現在までの代表的な旅を俯瞰する展覧会、
100枚の作品のエネルギーに満ち満ちた空間。
彼が自分の足で歩き撮影した写真の数々、
フィルムが1本また1本と積み上がっていくことで
彼のNEW MAPは範囲を広げる。
この地図には、当然のことながら国境は記されていない。
しかも、そこに刻まれている内容はめちゃくちゃ濃い。
エベレスト、霊峰富士、極地と、彼が対峙した大自然、
そこに生息する動物たち、
そしてなによりそこに生きる人々。
彼は、訪れた街や村の人々と仲良くなり、
儀式などにも参加して、彼らの姿を記録する。
写っている人の表情はとても清々しい。
高校2年の夏に訪れたインド、
お土産の店の女の子の笑顔が本当に生き生きとしている。
こんなふうにボーダーレスに旅を続けていると、
地理的には離れていても
似た行動様式を持っている人たちがいるといった
民俗学的な発見までしてしまうかもしれない。
住み慣れた場所から飛び出して、
新しいものに出会いたいという石川さん、
地図を作る旅は果てしなく続く。
ギャラリーで配られたパンフレットが、
登山地図の構造になっているのが、
展覧会にぴったりでとても嬉しい。