時の止まった少女たち 須藤絢乃『幻影ーGespensterー』

2014-09-14 11_Fotor

キヤノン『写真新世紀2014』のグランプリに選ばれた須藤絢乃さん
受賞作品は『幻影ーGespensterー』

須藤さんは、セルフポートレートを発表し続けています。
これまでは、かわいい写真を撮っていましたが、
この作品は、ファインアートへの飛躍となるものです。

交番の前などに貼られている行方不明の少女たちの写真、
古くなっても、ずっとそこに貼られています。

少女の周りにいた人たちにとって
彼女の姿は失踪したときのまま、
ここだけ時間が止まっています。

ところが、彼女は、どこかで生きているなら
少しずつ年をとって、
違う姿になっているはずです。

そんな不条理さに気がついた須藤さんは、
失踪した当時の写真を元に
少女達に扮し、ポートレートを作成しました。
ポートレートは全部で21枚。

性格も生い立ちも違う少女たち、
ひとりひとりの特徴がとてもよく表現されたポートレート。
淡い詩的なプリントですが、
コンセプトを知ると、
ただきれいなだけではなく
社会的メッセージのつまった作品であることがわかります。

一枚一枚自分でプリントし、
瞳などに光沢のアクセントを入れて完成させています。

この『幻影ーGespensterー』、写真集も発売され、
早速手に入れました。
しかもオリジナルプリント付きの限定版!!

コンテンポラリーアートへの扉を開いた
記念碑的な作品。

これからの飛躍がとても楽しみです。

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