北海道大学の近くに佇む「清華亭」、
札幌最初の都市公園である偕楽園内の施設として1880年に建てられ、
明治天皇が休憩したことでも知られる。
和洋折衷の趣のある建物、
この部屋に、毛利悠子さんのインスタレーション
『サーカスの地中』が展示されている。
方位磁針が円周に添って置かれている。
その上を細長い板がくるくる回転している。
時々方位磁針が動くと、
続いて部屋のあちこちに設置された
オブジェのどれかが反応する。
シャンデリアが点灯したり、
チャイムが鳴ったり、
ふさふさの犬のようなハタキがジャンプしたり...
これらの反応は周期性はもっていない。
連続して灯りが点いたかと思えば、
しばらくお休みのこともある。
このランダムな動きが、
古い建物の雰囲気と呼応している。
清華亭は、札幌市の碁盤状の縦横とは45度ずれている。
ここにも不規則がある。
毛利さんは、古地図を調べ
川に沿って建てられたのではと考えた。
さながら、方位磁針と回転棒は、
地中の水脈を探査している装置だ。
水脈のささやきを感知すると、オブジェが反応するかのよう。
そしてオブジェには、アンモナイトが数多く使われている。
アンモナイトは北海道でよく見つかるのだ。
オブジェは、太古の歴史とも会話をしている。
地中の水脈、磁力、そして歴史、
私たちが忘れかけている
地球の大きな流れに気づかせてくれる。