思考の遊園地 – ライアン・ガンダー『この翼は飛ぶためのものではない』

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国立国際美術館でライアン・ガンダーの個展が開かれています
広い会場のあちこちに様々な作品が展示され、まるで遊園地のようです。
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作品には説明がなく、タイトルがとても哲学的、
「混沌とした厄介な思索、と言うよりも、その黒い外観、知ってますね?」といった感じ。
身体よりも思考をフル回転させ、アートと社会について考える遊園地。
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無数の矢が壁や床に突き刺さり、戦いの跡を思わせる作品、
実は、美術館に掲げれらた絵に注いでいる鑑賞者の視線を可視化したもの
自分が絵になって壁に立っていることを想像すると、
確かに鑑賞者の視線は真剣で痛いに違いありません。

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ところが、中には床に転がっている矢も。
隣で鑑賞している女性に視線を奪われ、心を射抜かれた兵士の矢かもしれません。

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一方、展覧会のシンボルとなっている目の形をした作品「最高傑作」。
眉毛、まぶた、眼球が連動して動き、とても愛らしい。
しかしこの作品、矢の作品とは逆に鑑賞者がアートから見つめられるというもの
ふさわしくない人がやって来ると、まぶたを閉じてしまったり
そっぽを向いてしまったり、実は作品の方も鑑賞者を選んでいるのです。

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床に落っこちて食べられなくなってしまったアイスクリーム、
空に旅立ってしまった風船、
楽しみにしていたのに自分の手から離れてしまったモノたち
誰もが経験するちょっとした悲しみも作品にしています。

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いいアイデアを思いついたのに、ふとした瞬間消え去ってしまった、
それをテーブルから滑り落ちた一枚の紙として表現した作品。
1枚の紙が閉じ込められているように見えるガラス球が床に散りばめられ、キラキラしています。
二度と手にできないアイデアほど美しいものはないのです

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遊園地の極めつけは、「アンパーサンド」
壁に1m四方の窓が開いています。窓の向こう側をいろいろなモノが流れていきます。
ライアン・ガンダーが選んだ66のモノたち、それぞれにストーリーが紡がれ、
そのストーリーを読みながらモノを眺める作品。
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ライアン・ガンダーの世界にどっぷり浸ることができますが、
巨大ベルトコンベアーを設置することで実現させています。

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通常の遊園地では、G(加重力)のような非日常の力を感じることで得られる高揚感、
ここでは、普段見過ごしている感覚や意識に気づくことで新たな高揚感を得られます。

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そして、同時開催の『ライアン・ガンダーによる所蔵作品展 ―かつてない素晴らしい物語』も必見です。

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ライアン・ガンダー 『この翼は飛ぶためのものではない』
2017年4月29日 – 7月2日
国立国際美術館


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