イメージと世界 – トーマス・ルフ展

トーマス・ルフ東京国立近代美術館で、トーマス・ルフの日本初の
本格的回顧展が行われています。
18のシリーズ、約120の作品が展示されていますが、
いずれも作家の意思が極力排除されています。

9・11の時、ルフはニューヨークにいて悲劇を目の当たりにし、
自らのフィルムにその姿を写しました。
しかし、空港の警備が厳しくなってフィルムが感光してしまい、
帰国後現像してみても何も写っていなかったのです。
一方、ネットには様々な画像や映像が載っていてあたかもその場にいるよう、
近くにいたのに見えず、離れている方がクリアに見える、
この経験から生まれた「jpeg」シリーズ。

トーマス・ルフ

トーマス・ルフ
デジタル画像の圧縮率を高めすぎるとモザイク状の画像になります。
しかし、この画像もちょっと離れて見ると何が写っているかわかります。
離れているほどリアルに見える、果たしてそれは本物なのだろうか。

最新作「press++」
新聞社の写真アーカイブを題材にした作品。
紙面に掲載した時にわかりやすいように、
手で影をつけるなどの修正が施されています。

トーマス・ルフ
報道そして映画など、
私たちは常に写真や映像に触れてきたことで、
ある事象に対して特有のイメージが刷り込まれています。
そしてイメージに合った写真を見るとわかった気になるのです。

世界はイメージの刷り込みによって構築されているかのよう、
ルフの作品はそう指摘しています。

しかし、大発見や感動は、刷り込まれたイメージの向こうにある
まだ見ぬ世界に触れることで得られるもの。
遠くからネットで見ているだけでなく、
現場に駆けつけ、自分の目で確かめることが必要なのです。

ニューヨークで撮ったルフのフィルムには何が写っていたのか、
失われてしまったのが本当に残念です。

トーマス・ルフ

トーマス・ルフ

トーマス・ルフ
トーマス・ルフ展
2016年8月30日〜11月13日
東京国立近代美術館


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください